日本人のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療においてアレクチニブとクリゾチニブを比較する無作為化多施設オープンラベル第III相試験J-ALEXの全生存期間(OS)の最終データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で報告された。
・対象:未治療(化学療法歴は0~1回)のStage III3B~IV ALK陽性NSCLC
・試験薬群:アレクチニブ300mg×2/日(ALC群、n=103)
・対照群:クリゾチニブ250mg×2/日(CRZ群、n=104)
・評価項目:
[主要評価項目]独立評価機関(IRF)による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]OS、客観的奏効率、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値は両群とも68ヵ月を超えていた。
・最終的なOS中央値は両群とも未達、OSHRは1.03(95%CI:0.67~1.58)であった。
・5年生存率はALC群60.9%、CRZ群は64.1%で、既報のようなALC群の有意な改善は認められなかった。
・後治療およびクロスオーバーの状況をみると、後治療を受けた患者はCRZ群は91.3%、ALC群では46.6%であった。また、CRZ群の後治療はアレクチニブが78.8%でもっとも多く、ALC群での最多は化学療法の17.5%であった。
・治療切り替えまでの時間の中央値はCRZ群12.3ヵ月、ALC群は未達と、CRZ群はより早期に治療を切り替えてていた。
発表者はCRZ群のOSの結果は、アレクチニブへのクロスオーバーの多さが影響している可能性があるとしている。J-ALEX試験の最終OS解析の結果は、CRZ群と比較したALC群のOS延長は観察されなかったが、両群ともOS中央値は未達であった。
(ケアネット 細田 雅之)