非浸潤性乳がんのバイオマーカーとしての腫瘍浸潤リンパ球(TIL:Tumor Infiltrating Lymphocyte)の役割を検討するため、ベルギー・Universite Libre de BruxellesのRafael Caparica氏らは、非浸潤性乳がん患者の予後へのTILレベルの影響についてメタ解析で評価した。その結果、高TILの患者は、局所再発(浸潤性または非浸潤性)が起こりやすいが、非浸潤性乳がんでは浸潤性局所再発の可能性は低いことが示された。Breast誌オンライン版2021年7月9日号に掲載。
著者らは、系統的文献検索により、非浸潤性乳がん患者のTILレベル(高vs.低)による局所再発を評価している研究を特定し、局所再発(浸潤性および非浸潤性)ごとのサブグループ解析を実施した。副次評価項目は、TILレベルと非浸潤性乳がんのサブタイプ、年齢、グレード、壊死との関連だった。各研究からオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を抜き出し、ランダム効果モデルを用いてプール解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・7つの研究(3,437例)でメタ解析を実施した。
・高TILの場合、局所再発の可能性が高いが(浸潤性または非浸潤性、2,941例、OR:2.05、95%CI:1.03~4.08、p=0.042)、浸潤性局所再発の可能性は低かった(1,722例、OR:0.69、95%CI:0.49~0.99、p=0.042)。
・高TILは、トリプルネガティブ乳がん(OR:3.84、95%CI:2.23~6.61、p<0.001)、HER2陽性乳がん(OR:6.27、95%CI:4.93~7.97、p<0.001)、高グレード(OR:5.15、95%CI:3.69~7.19、p<0.001)、壊死(OR:3.09、95%CI:2.33~4.10、p<0.001)と関連していた。
(ケアネット 金沢 浩子)