臨床研究では、臨床データ収集システム(EDC:Electronic Data Capture)に医療施設のデータを適時入力する必要がある。しかし、そこには国際的な課題がある。NTTデータとファイザーR&Dは、国立がん研究センター東病院と臨床研究における臨床データの収集およびデータ品質点検の効率化に向けた共同研究を2021年7月から開始する。
臨床研究では、新薬等の効果と安全性を検証するためにALCOA(Attributable:帰属性、Legible:判読性、Contemporaneous:同時性、Original:原本性、Accurate:正確性)が担保された臨床データの収集が不可欠である。また、一般的に臨床データは、電子カルテを含む複数の原資料から収集される。
電子カルテのデータを原資料として利用する場合、医療機関では電子カルテのデータをEDCに入力するという、重複作業が発生しており、その負担は常に課題となっている。
この共同研究では、電子カルテ内のデータを国際標準に準拠した臨床研究報告用データに変換、Clinical Data Transfer(CDT)システムでの日本語からの翻訳等を行った上で、製薬企業等が管理するEDCに登録するソリューションを開発する。
それにより、重複入力作業の軽減とデータ点検作業の削減を図り、医療機関と製薬企業双方に有益な臨床研究の実現を目指す。
研究期間は2021年7月~2021年12月。国立がん研究センター東病院は研究に用いる臨床研究データを提供、NTTデータはCDT等のソリューションを提供、ファイザーはCDTからEDC取り込みまでの環境などを提供する。
(ケアネット 細田 雅之)