認知症ケアへの利用に期待が高まるロボット介入。認知症に対するロボット介入の研究は進んでいるものの、その効果はどの程度なのだろうか。台湾・高雄医学大学のIta Daryanti Saragih氏らは、認知症患者におけるロボット介入の有効性を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Clinical Nursing誌オンライン版2021年5月26日号の報告。
各種データベース(Academic Search Complete、CINAHL、Cochrane Library、MEDLINE、PubMed、SocINDEX、UpToDate[OVID]、Web of Science)よりシステマティックに検索した。適格基準は、認知症患者、ランダム化比較試験、英語での出版とした。対象研究の方法論的質を評価するため、PEDroスケールを用いた。ロボット介入のプールされた効果を算出するため、固定効果モデルを用いて、メタ解析を実施した。統計分析には、STATA 16.0を用いた。PRISMAガイドラインに従って結果報告を行った。
主な結果は以下のとおり。
・適格基準を満たした研究は、15件(1,684例)であった。
・全体として、認知症患者に対するロボット介入により、以下に対するプラスの影響が認められた。
●興奮症状(SMD:0.09、95%CI:-0.22~0.33)
●不安症状(SMD:-0.07、95%CI:-0.42~0.28)
●認知機能(SMD:0.16、95%CI:-0.08~0.40)
●うつ症状(SMD:-0.35、95%CI:-0.69~0.02)
●神経精神症状(SMD:0.16、95%CI:-0.29~0.61)
●日中の総睡眠時間(SMD:-0.31、95%CI:-0.55~0.07)
●QOL(SMD:0.24、95%CI:-0.23~0.70)
・認知症患者の健康状態を改善するうえで、ロボット介入は、効果的かつ代替的な介入である可能性が示唆された。
著者らは「今後の研究において、ロボット介入の不安症状への効果や介入頻度、期間、ネガティブなアウトカムについて検討する必要がある」としながらも「認知症患者のケアを提供する際、看護スタッフは、非薬理学的なアプローチとして、臨床的なベネフィットをもたらすロボット介入を取り入れる可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)