全国的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のデルタ株による感染者数が増加している。デルタ株の特徴は、広範かつ強力な感染力であり、陽性者も従来の高齢者や基礎疾患のある者から若年・中年層へと変化している。こうした社会環境の中で、新学期を控え、子供たちをこのまま就学をさせてよいかどうか、社会が揺れている。
8月25日に開催された厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第49回)の資料で、「3~18歳の新型コロナウイルスの感染場所等」が示された。
自宅と学校とではどちらで感染数が多いか
調査はHER-SYSデータを用いて、年齢階級別(3~5歳、6~12歳、13~15歳、16~18歳)の感染場所について、それぞれの割合を算出した。なお、感染場所の入力率が非常に少ないという点に留意が必要(期間は2021年4月1日~2021年7月22日)。また、COVID-19陽性者のうち、17.8%が感染場所抽出可能であり、そのデータを利用した。
調査の結果、下記の事項が判明した。
・3~15歳は自宅での感染が多かった。
・児童・生徒については、年齢が上がるほど学校などでの感染が多くなっていた。
・4月~7月にかけて直近になるほど、児童・生徒の学校などでの感染の割合は低くなっており、自宅での感染の割合が高くなっていた。
・幼児(3~5歳)の感染場所は、自宅が最も多く、続いて福祉施設(児童)・学校などでの感染が多かった。
年齢階級別による感染の多い場所は下記の通り(上位2つ)。
・3~5歳:自宅(59.8%)、福祉施設[児童](19.8%)
・6~12歳:自宅(76.6%)、学校など(14.6%)
・13~15歳:自宅(60%)、学校など(33%)
・16~18歳:学校など(45.7%)、自宅(39.4%)
以上より、3~15歳は自宅での感染が多かったが、児童・生徒は年齢が上がるほど学校などでの感染が多かった。
(ケアネット 稲川 進)