モデルナ混入異物はステンレス片、接種後死亡は「相互関係なく偶発的」

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/03

 

 武田薬品工業は9月1日、同社が輸入および日本国内への供給を行う製造販売承認を取得している「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」について、ワクチン製造元であるモデルナ社との共同ステートメントを発表した。複数のワクチン接種会場から、モデルナワクチンの特定のロットでバイアル内に異物があるとの報告を受けて調査を進め、当該バイアルから得られた粒子状物質を詳細に分析した結果、ステンレススチールであると同定されたという。ワクチン接種後の死亡事例については、「現時点では、接種の因果関係があることは確認されておらず、相互関係なく偶発的に生じたもの」という認識を示した。

 モデルナワクチンを巡っては、8月に複数の接種会場から未使用の状態において異物の混入があるとの報告を受け、8月26日付で3つの対象ロット番号「3004667(約57万回接種分)」「3004734(約52万回接種分)」「3004956(約54万回接種分)」について、使用を見合わせるよう通知。厚生労働省によると、8月31日現在で、大規模接種会場と職域接種会場合わせて、全国901会場に約162万回分が配布されていた。

 モデルナ社およびワクチン委託生産拠点であるスペインのROVI社と共に調査を進めたところ、ワクチン製造ラインのモジュールに取り付けられた2つの金属部品の設置不具合による摩擦によって粒子状の物質が混入した可能性が高いことがわかったという。この粒子状物質は「316ステンレススチール」で、心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸やステープルなどに用いられる。

 武田薬品工業によると、ワクチン薬液内にステンレススチールがごく少量存在したとしても、被接種者の健康や安全に対する過度のリスクや、ワクチンのベネフィット・リスク評価への悪影響はないとの見立てだ。また、注射針を通過できる大きさの粒子状金属が仮に筋肉内に注入されてしまった場合、局所的な反応を引き起こす可能性があるものの、注射部位以外での副反応を起こす可能性は低いと考えられるという。

 今回の問題に関連して、ワクチン接種後の2件の死亡事例が報道などで取りざたされているが、共同ステートメントでは、「現時点では、これらの死亡事例とモデルナ社製ワクチン(ロット番号3004734)接種の因果関係があることは確認されていない。現在のところ相互の関係なく偶発的に生じたものと考えられる」との認識を示しつつ、因果関係の有無について正式な調査を実施する重要性についても言及している。

(ケアネット 鄭 優子)