男性がポルノ関連情報に触れる機会は、過去10年間で大きく変化しており、インターネットポルノ(IP)依存症やそれに関連する性機能障害の有症率は増加している。DSM-Vのコンセンサスや正式な認識が欠如していることにより、IP依存症の定義は明らかとなっていない。現在得られているIP依存症や性機能障害に関連するエビデンスの多くは、消費者、ケーススタディ、定性研究からの情報に限られている。経験的な測定が用いられることにより、研究者は、性的反応に関するさまざまなアウトカムを発見したが、これらのデータは、IPの利用と自己認識しているIP依存症との混同、性機能障害の臨床診断による性的反応の正常な変動と関連している可能性がある。そのため、IPの利用や自己認識しているIP依存症の両方が男性の性機能に及ぼす影響を評価するためには、さらなる経験的な解明が求められる。
オーストラリア・マッコーリー大学のGeorgina Whelan氏らは、IP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連について調査を行った。The Journal of Sexual Medicine誌オンライン版2021年8月13日号の報告。
この研究の目的として、次の3つについて評価を行った。(1)IP単独利用と勃起不全、早漏、性的満足度との関連(2)自己認識しているIP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との関連(3)IPの利用または自己認識しているIP依存症が男性の勃起不全、早漏、性的満足度の予測因子であるか
米国のオンライン掲示板RedditのIPサブグループが行ったオンライン調査に参加した18~44歳の異性愛者男性942人を対象に、相関分析および回帰分析を実施した。主要アウトカムの指標として、Cyber-Pornography Use Inventory(IPの利用尺度)、International Index Erectile Dysfunction(勃起不全の尺度)、The Checklist for Early Ejaculation Symptoms(早漏の尺度)、New Sexual Satisfaction Scale(性的満足度の尺度)、Depression Anxiety Stress Scale-21(うつ病、不安、ストレスの尺度)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・IPの利用と勃起不全、早漏、性的満足度との関連は認められなかった。
・自己認識しているIP依存症と勃起不全、早漏、性的満足度との間には、小~中程度の相関が認められた。
・自己認識しているIP依存症は、勃起不全、早漏、個人の性的不満の増加に対する独立した予測因子であることが示唆された。
・予想に反して、自己認識しているIP依存症は、性的パートナーに対する性的不満を予測しなかった。
著者らは「IPの利用自体が性機能障害を予測するわけではなく、IP依存の増加に対する自己認識が、性的にネガティブな影響と関連していることが示唆された。そのため、IPの利用に対する主観的な解釈が、男性の性的問題の原因であると考えられる。臨床医は、自己認識しているIP依存症が、性機能障害の原因である可能性を考慮する必要がある」としている。
(ケアネット)