進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療としてのニボルマブとイピリムマブの併用療法は、PD-L1の発現状態、非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの組織型にかかわらず、化学療法と比較して長期的な生存効果を示すことがCheckMate 227試験の4年間追跡結果から示された。この結果の概要が、第62回日本肺癌学会学術集会において、がん研究会有明病院の西尾誠人氏によって紹介された。
ニボルマブ・イピリムマブ併用群の化学療法群に対するOSのハザード比は0.76
・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織型問わず)
・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ併用群(NIVO+IPI群)
ニボルマブ単剤群(TPS1%以上)(NIVO群)
ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)(NIVO+Chemo群)
・対照群:化学療法(組織型により選択)単独(Chemo群)
・評価項目:
[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の無増悪生存期間(PFS)、PD-L1発現(≧1%)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の全生存期間(OS)
[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(TPS1%以上)患者におけるNIVO群対Chemo群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のOS、PD-L1なしまたは低発現(TPS1%未満)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のPFS、そのほか奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・PD-L1発現率1%以上の患者集団(1,189例)のOS中央値は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群、ニボルマブ単独療法群、化学療法群でそれぞれ17.1ヵ月、15.7ヵ月、14.9ヵ月であり、4年OS率はそれぞれ29%、21%、18%であった。
・ニボルマブ・イピリムマブ併用群の化学療法群に対するOSのハザード比(HR)は、0.76(95%信頼区間[CI]:0.65~0.90)であった。
・以上の結果は、非扁平上皮がんと扁平上皮がんで層別して解析しても一貫していた。
・PD-L1発現率1%未満の患者集団(550例)のOS中央値は、ニボルマブ・イピリムマブ併用群、ニボルマブ/化学療法併用群、化学療法群でそれぞれ17.2ヵ月、15.2ヵ月、12.2ヵ月であり、ニボルマブ・イピリムマブ併用群の化学療法群に対するOSのHRは0.64(95%CI:0.51~0.81)であった。
・4年間の長期観察において、安全性に関する新たな懸念は示されなかった。
(ケアネット)