米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏はNSCLCに対する1次治療としての抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法と化学療法(プラチナダブレット)との比較第III相試験・Checkmate-227 Part1の3年観察結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法は化学療法と比較してPD-L1発現の有無にかかわらず長期の効果を示したと報告した。
・対象:未治療のPD-L1発現1%以上(Part1a)および1%未満(Part1b)のStageIVまたは再発NSCLCの初回治療患者(PS 0~1、組織型問わず)
・試験群:ニボルマブ+イピリムマブ群(NIVO+IPI群)
ニボルマブ単剤群(TPS1%以上)(NIVO群)
ニボルマブ+化学療法群(TPS1%未満)(NIVO+Chemo群)
・対照群:化学療法(組織型により選択)単独(Chemo群)
・評価項目:
[複合主要評価項目]高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の無増悪生存期間(PFS)、PD-L1発現(≧1%)患者におけるNIVO+IPI群対Chemo群の全生存期間(OS)
[副次評価項目]高TMB(≧13/メガベース)かつPD-L1発現(TPS1%以上)患者におけるNIVO群対Chemo群のPFS、高TMB(≧10/メガベース)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のOS、PD-L1なしまたは低発現(TPS1%未満)患者におけるNIVO+Chemo群対Chemo群のPFS、そのほか奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・PD-L1発現1%以上の患者での3年OS率は、NIVO+IPI群が33%、NIVO群が29%、Chemo群が22%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するハザード比[HR]:0.79、95%信頼区間[CI]:0.67~0.93、NIVO群のChemo群に対するHR:0.90、95%CI:0.77~1.06)。
・PD-L1発現1%未満の患者での3年OS率は、NIVO+IPI群が34%、NIVO+Chemo群が20%、Chemo群が15%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.64、95%CI:0.51~0.81、NIVO+Chemo群のChemo群に対するHR:0.82、95%CI:0.66~1.03)。
・PD-L1発現1%以上の患者での3年PFS率は、NIVO+IPI群が18%、NIVO群が12%、Chemo群が4%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.81、95%CI:0.69~0.96、NIVO群のChemo群に対するHR:0.97、95%CI:0.83~1.15)。
・PD-L1発現1%未満の患者での3年PFS率は、NIVO+IPI群が13%、NIVO+Chemo群が8%、Chemo群が2%であった(NIVO+IPI群のChemo群に対するHR:0.75、95%CI:0.59~0.95、NIVO+Chemo群のChemo群に対するHR:0.73、95%CI:0.58~0.92)。
・PD-L1発現1%以上の患者での3年奏効率(ORR)は、NIVO+IPI群が38%、NIVO群が32%、Chemo群が4%であった。
・PD-L1発現が1%未満の患者での3年ORR率は、NIVO+IPI群が34%、NIVO+Chemo群が15%、Chemo群が0%であった。
・PD-L1発現1%以上の患者でのDoR中央値は、NIVO+IPI群が23.2ヵ月(95%CI:15.2~32.2)、NIVO群が15.5ヵ月(95%CI:12.7~23.5)、Chemo群が6.7ヵ月(95%CI:5.6~7.6)であった。
・PD-L1発現1%未満の患者でのDoR中央値は、NIVO+IPI群が18.0ヵ月(95%CI:12.4~33.0)、NIVO+Chemo群が8.3ヵ月(95%CI:5.9~9.4)、Chemo群が4.8ヵ月(95%CI:3.7~5.8)であった。
・Part 1aとPart 1bを統合した有害事象発現率はNIVO+IPI群が77%、Chemo群が82%、うちGrade3以上はそれぞれ33%、36%であった。
Ramalingam氏は、「免疫チェックポイント阻害薬の併用療法は、進行性NSCLCの1次治療での化学療法の頻度を減らしうる新規のオプションになる」との見通しを示した。
(ケアネット)