厚生労働省は12月24日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する経口抗ウイルス薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオカプセル200mg)について、国内における販売を特例承認した。日本における申請者はMSD。重症化リスク因子を有し、軽症~中等症の入院していない18歳以上の患者が投与対象となる。ただし、動物実験において胎児毒性が報告されているため、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しない旨が、モルヌピラビルの添付文書に「禁忌」として明記されている。モルヌピラビルは11月10日、メルクと日本政府との間で約160万回分を提供することですでに合意しており、今回の承認を受け、速やかに提供が開始される見通しだ。新型コロナに特化した経口治療薬の承認はモルヌピラビルが初めてとなる。
モルヌピラビルを巡って各国の対応は分かれる
モルヌピラビルは、経口投与が可能な強力なリボヌクレオシドアナログで、SARS-CoV-2を含むさまざまなRNAウイルスの複製を阻害する。SARS-CoV-2の予防投与、治療、感染防止などのいくつかの前臨床モデル、またSARS-CoV-1、MERSに対する活性が認められている。
モルヌピラビルを巡っては、12月23日付で米FDAが緊急使用を許可した一方、フランスでは臨床試験の結果に鑑み、政府が購入見送りを決めるなど、判断が分かれている。
<製品概要>
販売名:ラゲブリオカプセル200mg
一般名:モルヌピラビル
効能又は効果: SARS-CoV-2 による感染症
用法及び用量: 通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。
(ケアネット 鄭 優子)