PALLAS試験は、ホルモン受容体(HR)陽性/HER2陰性の早期乳がんの術後補助療法として、標準的な内分泌療法へのCDK4/6阻害薬パルボシクリブ追加の有効性を評価する第III相試験。主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(iDFS)の有意な改善は示されておらず、今回、同試験におけるパルボシクリブ減量と中止の影響が評価された。米国・ダナファーバーがん研究所(DFCI)のErica L Mayer氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年1月7日号に報告した。
[PALLAS試験概要]
・対象:Stage II/IIIのHR陽性/HER2陰性乳がん患者(診断後12ヵ月以内、内分泌療法による術後補助療法開始後3ヵ月以内)
・試験群:パルボシクリブ(125mg1日1回、3週投与1週休薬、2年間)+標準的内分泌療法(少なくとも5年)
・対照群:標準的内分泌療法(少なくとも5年)単独
・評価項目
[主要評価項目]iDFS
[副次評価項目]非乳房由来の2次がんを除くiDFS、遠隔無再発生存期間(DRFS)、局所無再発生存期間、全生存期間(OS)、安全性
今回の解析では、毒性、用量変更、および早期中止の継続的なモニタリングが実施され、ベースライン共変量とパルボシクリブの減量および中止までの時間との関連を、競合リスクモデルを用いて分析。ランドマーク解析および逆確率重み付け推定法によりiDFSに対する薬物の持続性と曝露の影響を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・分析対象の5,743例のうち、2,840例が試験群に割り付けられ、パルボシクリブを開始。うち1,199例(42.2%)が2年の間にパルボシクリブを中止した。多くが副作用によるもので(772例、27.2%)、最も一般的だったのは好中球減少症と倦怠感だった。
・内分泌療法の中止について、両群間で差はみられなかった。
・プロトコルで定義されていない理由による中止は、パルボシクリブ開始後最初の3ヵ月間、および最初の暦年で多く、時間の経過とともに減少した。
・より長い期間のパルボシクリブ投与または70%以上の曝露強度と、iDFS改善との間に有意な関係はみられなかった。
・重みづけされたper-protocol解析の結果、パルボシクリブ投与患者と非投与患者の間でiDFSの改善は観察されなかった(ハザード比:0.89、95%信頼区間:0.72~1.11)。
研究者らは、PALLAS試験におけるパルボシクリブの中止率の高さに着目したものの、今回の解析では両群間で有意なiDFSの差はみられず、パルボシクリブによる治療が不十分なこととiDFSには直接的な関係はないことが示唆されたと結論づけている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)