アストラゼネカは、2022年1月26日、第III相HIMALAYA試験の結果から、切除不能な肝細胞がん(HCC)のうち、全身療法による前治療歴がなく、局所療法の適応とならない患者の1次治療として、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)に免疫反応を誘導(プライミング)するtremelimumab単回投与を追加した併用療法が、ソラフェニブと比較して統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)の延長を示したことを発表した。
HIMALAYA試験においてSTRIDEレジメンが死亡リスクを22%低下
このイミフィンジと抗CTLA4抗体であるtremelimumabの新たな用量および投与スケジュールは、STRIDEレジメン(Single Tremelimumab Regular Interval Durvalumab)と呼ばれる。HIMALAYA試験の結果は、2022年1月21日のASCO-GIで発表された。
肝がんは、世界中で6番目に多く診断されているがんであり、米国、欧州、日本では毎年約80,000人、中国では26万人が進行性の切除不能なHCCに罹患している。
HIMALAYA試験において、STRIDEレジメンはソラフェニブと比較して、死亡リスクを22%低下させた(ハザード比[HR]:0.78、96.02%信頼区間[CI]:0.65〜0.93、p=0.0035)。OS中央値はSTRIDEレジメン群16.4ヵ月に対し、ソラフェニブ群13.8ヵ月、客観的奏効率(ORR)はSTRIDEレジメン20.1%に対しソラフェニブ群5.1%、奏効期間中央値はSTRIDEレジメン群 22.3ヵ月に対し、ソラフェニブ群18.4ヵ月であった。
デュルバルマブにtremelimumabを追加しても重度の肝毒性発現は増加せず、出血リスクも認められなかった。HIMALAYA試験ではイミフィンジ単剤療法も検証され、OS中央値は16.6ヵ月対13.8ヵ月で、ソラフェニブ群に対するOSの非劣性(HR:0.86、95.67%CI:0.73~1.03)、およびソラフェニブ群に対する忍容性プロファイルの改善が示された。
(ケアネット 細田 雅之)