化学放射線同時併用療法(CCRT)後に疾患進行しなかった切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相PACIFIC試験において、デュルバルマブは無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示している。米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)では、PACIFIC試験の5年のOSおよびPFSデータが発表された。
デュルバルマブ群とプラセボ群の5年OS率は42.9%と33.4%と依然として良好
・対象:cCRT後に進行していない切除不能StageIII NSCLC患者
・試験群:デュルバルマブ10mg/kg、2週ごと12ヵ月(473例)
・対照群:プラセボ、2週ごと12ヵ月(236例)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検独立中央評価委員会(BICR)判定による無増悪生存期間(PFS)、OS
[副次評価項目]死亡または遠隔転移までの時間、2回目の進行までの時間、安全性などCRTの1~42日後に、被験者はデュルバルマブとプラセボに2対1に無作為に割り付けられた。
デュルバルマブを投与したPACIFIC試験の5年のOSおよびPFSデータの主な結果は以下のとおり。
・データカットオフ時(2021年1月11日)の追跡期間中央値は全無作為化患者では34.2ヵ月、最後に生存が確認された患者では61.6ヵ月であった。
・更新されたOS中央値は、デュルバルマブ群47.5ヵ月、プラセボ群29.1ヵ月、5年OS率は42.9%と33.4%と、デュルバルマブ群が依然として良好であった(ハザード比[HR]:0.72、95%信頼区間[CI]:0.59〜 0.89)。
・更新されたPFSはデュルバルマブ群16.9ヵ月、プラセボ群5.6ヵ月、5年PFS率はそれぞれ、33.1%と19.0%であった(HR:0.55、95%CI:0.45~0.68)。
発表者は、今回のデュルバルマブのPACIFIC試験の結果は初回解析結果と一致したものであり、これらの対象患者の標準治療の新たな基準を確立したと結んでいる。
(ケアネット 細田 雅之)