アルコール、コーヒーの摂取および喫煙が片頭痛の発症リスク因子であるかを評価するため、スウェーデン・カロリンスカ研究所のShuai Yuan氏らは、メンデルランダム化研究を実施した。Pain誌2022年2月1日号の報告。
大規模ゲノムワイド関連解析におけるP<5×10-8の潜在的なリスク因子に関連する独立した一塩基多型を操作変数として用いた。選択した一塩基多型と片頭痛との関連についてのサマリーレベルのデータを、FinnGenコンソーシアム(片頭痛患者:6,687例、対照群:14万4,780例)およびUKバイオバンク研究(片頭痛患者:1,072例、対照群:36万122例)のデータより抽出した。FinnGenおよびUKバイオバンクのコホートより得られた推定値は、固定効果メタ解析を用いて組み合わせた。
主な結果は以下のとおり。
・遺伝的に予測されたアルコール摂取、コーヒー摂取、喫煙開始との関連性を示すエビデンスが認められた。
【アルコール摂取】オッズ比(OR):0.54/1週間当たりの対数変換アルコール飲料のSD増加、95%信頼区間[CI]:0.35~0.82、p=0.004
【コーヒー摂取】OR:0.56/コーヒー摂取量50%増加、95%CI:0.45~0.70、p<0.001
【喫煙開始】OR:1.15/喫煙開始の1SD増加、95%CI:1.01~1.31、p=0.038
・多変数メンデルランダム化解析での相互調整を含む感度分析においても、これらの関連性は変わらなかった。
・メンデルの逆ランダム化解析では、片頭痛に対する遺伝的な影響は、アルコール摂取と逆相関が認められたが、コーヒー摂取および喫煙開始との関連は認められなかった。
著者らは「片頭痛に対する適度なコーヒー摂取の保護的影響と喫煙の有害な影響を示唆する遺伝的証拠が発見された。アルコール摂取と片頭痛リスクとの逆相関は、因果関係の逆転が影響している可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)