周産期における境界性パーソナリティ障害の有病率~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/03/24

 

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、重度の情緒不安定や対人機能低下を特徴とする精神疾患である。これまでの文献では、周産期におけるBPDは非BPDと比較し、さまざまな生理学的および心理社会学的アウトカムの有害リスクが高いことが示唆されている。しかし、これまで妊娠中および産後のBPDおよびBPDの特徴(BPF)を有する割合を調査したシステマティックレビューは行われていなかった。カナダ・マックマスター大学のDivya Prasad氏らは、周産期のBPDおよびBPFの有病率を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2022年2月26日号の報告。

 2021年4月6日に3つのデータベース(PubMed、PsycINFO、Embase)を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。妊娠中、産後、または混合の周産期女性を対象にBPFまたはBPDを評価した研究論文およびカンファレンス抄録を抽出した。

 主な結果は以下のとおり。

・16研究(研究論文:14件、カンファレンス抄録:2件)のシステマティックレビューを行い、そのうち7研究をメタ解析に含めた。
・非臨床サンプルのうち、妊娠中のBPF有病率は6.9~26.7%であり、周産期全体のBPD有病率は0.7~1.7%であった。
・臨床サンプルのうち、周産期全体のBPF有病率は9.7~34%、BPD有病率は2.0~35.2%であった。
・メタ解析の結果、臨床サンプルにおける周産期のプールされたBPD有病率は14.0%(95%信頼区間:7.0~22.0)であった。

 著者らは「臨床サンプルにおける周産期のBPD有病率は高いことが明らかとなった。周産期女性のBPDを鑑別し、治療を行うためにも、適切な検証済みのスクリーニング法が必要とされる」としている。

(鷹野 敦夫)