日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、2017年に発表した「間歇スキャン式持続血糖測定器(isCGM):FreeStyle リブレ(以下「リブレ」と略す)に関する見解」の内容を改訂し、4月1日に第4版を公表した。
今回の改訂は、「2022年4月より、リブレの使用に関する保険請求上の「C150-7」の対象者が『入院中の患者以外の患者であって、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っているもの』に拡大されたことを踏まえ、現在の医療環境に合わせた」と趣旨を示している。同時に「リブレは、糖尿病の日常の自己管理に有用であるが、必要時には血糖自己測定(SMBG)を行って血糖値を確認する必要がある。本品が有効かつ安全に用いられるよう、適正な使用方法について示す」としている。
リブレ(血糖測定器)保険適用拡大の主な内容や改訂点
【1.リブレを使用することが考慮される患者像】
〔継続使用が考慮される患者像〕
(1)インスリン療法でも血糖変動が大きい患者
(2)生活が不規則で血糖が不安定な患者
(3)スポーツや肉体作業など活動量が多く血糖が動揺しやすい患者
(4)低血糖対策の必要度が高い患者、など
〔短期的または間歇的に使用する患者像〕
(1)インスリンを新規に開始する患者
(2)治療内容の変更(薬剤の追加・変更、薬剤用量の増減など)を行う患者
(3)食事や運動などが血糖変動に及ぼす影響を理解させて生活習慣改善に向けて教育的指導を行いたい患者
(4)手術や歯科処置などで短期間に血糖を改善すべき患者
(5)シックデイの場合、など
【2.SMBGとの併用】
SMBGとの併用について、「リブレは糖尿病の日常の自己管理に用いることができる機器であるが、必要に応じてSMBGを行って血糖値を確認しなければならない」としている。
また、SMBGを行う場合として、添付文書に記載されている通り、
(1)グルコース値が急速(1分間に2mg/dL以上)に変化している場合
(2)センサーにより得られた低血糖または低血糖の可能性について確認する場合
(3)リブレの測定結果と一致しない症状がある場合、または測定値の正確性に疑問がある場合
などが挙げられている。
【3.保険適用】
2022年4月より、「C150-7」の対象者が「入院中の患者以外の患者であって、インスリン製剤の自己注射を1日に1回以上行っているもの」に拡大されたことで、インスリン注射を行っているすべての患者に適用される。
【4.安全性と有効性の担保】
実際の使用では、「機器自体の特性、データ乖離などの解釈、SMBGが必要な状況の指導、食事・運動療法・薬物治療へのフィードバック、など糖尿病治療の専門的な知識が必要である」と明記。また、「リブレはSMBGと相補的に使用することにより糖尿病患者の血糖管理を向上させる有用なツールであり、日本糖尿病学会はリブレの安全かつ有効な利用を今後も推進する」としている。
【5.結果の評価方法について】
結果の評価方法について、とくに「 time in range(TIR)の目標値が、国外のCGMデータに基づいて設定されており、日本人糖尿病患者における適切な目標値とは異なっている可能性がある。今後、日本人におけるCGMデータを用いて、適切な目標値を検証していくことが重要」としている。
(ケアネット 稲川 進)