糖尿病診療で広く活用されてきているリアルタイム持続グルコース測定(リアルタイムCGM)。2018年12月からはリアルタイムCGMが保険適用となり、CGM機は施設基準を満たした医療機関で、適用患者も限定され使用されている。
日本糖尿病学会(理事長:植木 浩二郎)は、2019年に発表した「『リアルタイムCGM適正使用指針』について」の内容を改訂し、12月16日に公表した。
リアルタイムCGM適正使用指針の主な改訂点
【2.使用できる施設】
・インスリンポンプ一体型リアルタイムCGMと同様にインスリンポンプ治療を行っている施設で、糖尿病治療経験5年以上の糖尿病専門医が1名以上常勤していることに加えて、インスリンポンプ治療の経験を2年以上有する常勤の看護師や薬剤師(糖尿病療養指導士や糖尿病看護認定看護師など)が1名以上配置されている施設に限定される。
・糖尿病専門医や糖尿病療養指導士、糖尿病看護認定看護師に対しては、日本糖尿病学会が行うSAPやCGMのe-learningの受講を必須。
【3.適応と注意点】
・本機器は、(1)急性発症1型または劇症1型の糖尿病患者で、低血糖対策と血糖コントロールの両立が強く求められるが就労や生活環境上の理由でインスリンポンプ一体型リアルタイムCGM(SAP)を使用できない者、(2)2型の糖尿病患者でも内因性インスリン分泌が欠乏(空腹時血清Cペプチド 0.5ng/mL未満)しており、インスリン治療を行っていても低血糖発作など重篤な有害事象がおきている血糖コントロール不安定な者が適応となる。具体的にはインスリン頻回注射またはSAP以外のインスリンポンプ治療と1日最低2回以上のSMBGを行っているが、血糖が不安定で予期せぬ低血糖や著明な高血糖を繰り返す者で、上記に示した施設基準を満たす医療機関を受診している者が適応となる。
・低血糖リスクが乏しく、血糖コントロールの安定している者または医師の指導に従わず、SMBG を行わない患者等は適応外である。
【4.アラートの設定閾値】
(1)低グルコースのアラート
低グルコースアラートを使用する場合は使い始めてしばらくは60~70mg/dLに設定する。
(2)高グルコースのアラート
高グルコースアラートを使用する場合は使い始めてしばらくは250~300mg/dLに設定する。
(3)その他のアラート機能
これらのアラ―ト機能の内容、使い方、対処法については、患者の特性を考慮して個別的に設定、説明、指導を行う。
【5.アラート鳴動時の対応】
1)患者
・原則として、アラート鳴動後にSMBGを行い、その結果をもとに糖尿病専門医、および糖尿病療養指導士や糖尿病看護認定看護師による事前の指導に従った対応を取ることが求められる。
・医師は本機器での測定結果を過信せず、SMBGで血糖値を確認することが推奨されることを患者に対して教育する必要がある。また患者によってはアラート鳴動時以外にも本機器の数値に対して過剰に反応し、ブドウ糖の摂取やインスリン追加注射などを自己判断で行ってしまう可能性もあることから、低血糖・高血糖への対応については日常的な継続指導が必要である。
2)患者家族等
・患者自身が対応を取ることが難しく、かつ患者家族等が患者の傍にいる場合には、患者に代わって事前の医師の指導に従って対応を行うことを指導しておく必要がある。
なお、実際の使用開始に際しては学会が作成するeラーニングの受講が必須とされているので注意を願いたい。
(ケアネット 稲川 進)