進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)への抗TIGIT抗体tiragolumabの併用による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の延長は見られなかった。
ES-SCLCに対するSKYSCRAPER-02試験ではPFSとOSに有意差なし
同報告は、日本も参加した国際共同第III相試験SKYSCRAPER-02の初回解析結果で、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏から報告された。
・対象:未治療のES-SCLC症例490例
・試験群:tiragolumab+アテゾリズマブ+カルボプラチン・エトポシド3週ごと4サイクル→tiragolumab+アテゾリズマブ3週ごと(Tira群:243例)
・対照群:プラセボ+アテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド3週ごと4サイクル投与→プラセボ+アテゾリズマブ3週ごと(Pla群:247例)
・評価項目:
[主要評価項目]脳転移を有さない症例群(PAS)におけるOSとPFS(主治医判定による)
[副次的評価項目]すべての登録症例(FAS)によるOSとPFS、奏効率(RR)、奏効期間(DOR)、安全性など
ES-SCLCに対するSKYSCRAPER-02の初回解析の主な結果は以下のとおり。
・観察期間中央値は14.3ヵ月であった(データカットオフ2022年2月)。
・両群共に約19%の脳転移症例を含んでいた。
・PAS群のPFS中央値は、Tira群で5.4ヵ月、Pla群で5.6ヵ月、ハザード比(HR)は1.11(95%信頼区間[CI]:0.89~1.38)でp=0.3504、と両群間に有意な差は見られなかった。
・PAS群のOS中央値はTira群が13.6ヵ月、Pla群が13.6ヵ月、HRは1.04(95%CI:0.79~1.36)でp=0.7963、こちらも両群間に有意差はなかった。
・FAS群のPFS中央値はTiga群が5.1ヵ月、Pla群が5.4ヵ月で、HRは1.08であった。同様にOS中央値は、Tira群13.1ヵ月、Pla群12.9ヵ月、HRは1.02であった。
・FASを対象としたサブグループ解析においても両群間の有意な差は見いだせなかった。
・探索的に脳転移症例だけでOSを検討してみたところ、OS中央値はTira群で11.70ヵ月、Pla群で10.64ヵ月、HR0.92であった。
・FAS群のRRは、Tira群が70.8%、Pla群が65.6%、DOR中央値はTira群が4.2ヵ月、Pla群が5.1ヵ月であった。
・Grade3/4の治療関連有害事象は、Tira群の52.3%、Pla群の55.7%で発現した。有害事象による治療中止割合は、Tira群5.0%、Pla群5.3%であった。
(ケアネット)