米国疾病管理予防センター(CDC)のMolly K. Steele氏らが、米国の18歳以上の成人において、新型コロナワクチン接種によって予防された感染者数、入院者数、死亡者数を推定したところ、成人の67%がワクチンの初回シリーズ接種完了していた2021年9月において、ワクチン接種により、予想感染者数の52%、予想入院者数の56%、予想死亡者数の58%を防いだと推定された。JAMA Network Open誌2022年7月6日号に掲載。
本研究では、2020年12月1日~2021年9月30日における州、月、年齢層(18~49歳、50~64歳、65歳以上)ごとに、新型コロナによる入院者数のデータから、乗数モデルを用いて感染者数(無症候性含む)と死亡者数を推定した。これらの推定値をワクチンの接種率および有効性データと組み合わせて、感染、入院、死亡のリスクを推定し、18歳以上の米国人集団においてワクチン接種しなかった場合に予測される負荷を推定した。さらに、同集団でワクチン接種した場合の負荷の推定値を、ワクチン接種しなかった場合の負荷の推定値から差し引いて、ワクチン接種者における効果を推計した。なお、米国では、ワクチン接種プログラムを開始した2020年12月12日から2021年9月30日までに、18歳以上の67%がワクチン接種の初回シリーズを完了(ファイザー製ワクチンまたはモデルナ製ワクチンを2回接種もしくはヤンセン製ワクチンを1回接種)している。
主な結果は以下のとおり。
・2020年12月1日~2021年9月30日において、18歳以上へのワクチン接種により、感染者数では約2,700万人(95%不確実性区間[UI]:2,200万~3,400万)、入院者数では約160万人(同:140万~180万)、死亡者数では約23万5,000人(同:1万7,500~30万5,000)を抑制したと推定された。
・2021年9月1日~30日において、ワクチン接種により、予想感染者数の52%(95%UI:45~62)、予想入院者数の56%(同:52~62)、予想死亡者数の58%(同:53~63)を抑制したと推定された。
これらの結果から、米国におけるワクチン接種が、接種者における感染、入院、死亡を実質的に防御したことを示すと結論している。
(ケアネット 金沢 浩子)