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高齢乳がん患者への術前化学療法、治療目標を達成できるか

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/29

 

 手術可能な70歳以上の乳がん患者において、術前化学療法(NAC)によるダウンステージ率と忍容性の研究は少ない。今回、米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのAustin D. Williams氏らが、NAC完遂率とダウンステージ率を50~69歳と70歳以上で比較したところ、70歳以上ではNAC完遂率が低かったが、乳房および腋窩リンパ節のダウンステージ率は50~69歳の患者と同程度に高かった。Annals of Surgical Oncology誌オンライン版2022年7月24日号に掲載。

 本研究の対象は、2013年11月~2020年4月にNAC後に手術を受けた50歳以上のcT1-3N0-1の乳がんの女性で、乳房温存手術不適応から適応へのダウンステージ率とcN1患者の腋窩リンパ節郭清回避率について50~69歳と70歳以上で比較した。また、NACレジメンと完遂率も評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・NACを受けたcT1-3N0-1乳がん患者は668例で、50歳以上の651例のうち75例(11.1%)が70歳以上だった。
・70歳以上では50~69歳と比べて、小葉がんが少なく(5% vs.10%、p=0.03)、アントラサイクリンベースのレジメンが少なく(69% vs.93%、p<0.001)、レジメン完遂率が低かった(57% vs.78%、p<0.001)。
・乳房温存手術不適応から適応へのダウンステージ率は同程度だった(72% vs.74%、p>0.9)。
・NAC後に乳房温存手術適応となった患者のうち乳房温存手術を受けた患者の割合は、70歳以上が50~69歳より高かった(93% vs. 74%、p=0.04)。
・cN1患者390例のうち、162例(42%)がリンパ節における病理学的完全奏効を達成した。腋窩リンパ節郭清回避率は同等だった(43% vs. 42%、p>0.9)。

 著者らはこの結果から、「適切に選択された高齢患者は、NACによって安全で大きな臨床ベネフィットを得られることを示唆する」と結論している。

(ケアネット 金沢 浩子)