低血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値の3要素が組み合わさるほど認知症リスクが増大することを、オランダ・ラドバウド大学医療センターのMelina Ghe den Brok氏らが報告した。低血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値はそれぞれ認知症のリスク因子として知られているが、これらが相加的なリスク因子であるかどうかは不明であった。Neurology誌オンライン版2022年8月2日号掲載。
低血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値は認知症リスクが大幅に高い
本調査は、認知症予防を目的とした介入試験であるPrevention of Dementia by Intensive Vascular Care(preDIVA)試験の拡張フォローアップの事後解析として行われた。対象は、オランダの総合診療施設に登録されている70~78歳の非認知症の地域住民であった。ベースラインの低収縮期血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値と認知症発症の関連性を、Cox回帰分析を用いて評価した。
低血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値と認知症発症の関連性を分析した主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値10.3年(四分位範囲[IQR]:7.0~10.9年)の間で、2,789例中308例(11.0%)が認知症を発症し、793例(28.4%)が死亡した。
・低血圧、低BMI、非HDLコレステロール低値の各リスク因子の最低五分位の人では、認知症の発症リスクが高かった。
・リスク因子を有さない人と比較して、リスク因子を1つのみ有する人の調整ハザード比(aHR)は1.18(95%信頼区間[CI]:0.93~1.51)、2つ有する人のaHRは1.28(95%CI:0.85~1.93)、3つすべて有する人のaHRは4.02(95%CI:2.04~7.93)であった。
・これらの結果は、リスク因子の特定の組み合わせによるものではなかった。
著者らは、「3つのリスク因子を有する人では、認知症の発症リスクは大幅に高かった。これは、個々のリスク因子の独立した影響ではなく、複数のリスク因子が包括的に関与する現象の可能性がある」と述べている。
(ケアネット 森 幸子)