認知症有病率の日本のコミュニティにおける20年間の推移

提供元:ケアネット

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公開日:2022/07/14

 

 認知症患者数は世界的に増加しており、とくに世界で最も高齢化が進む日本において、その傾向は顕著である。認知症高齢者の増加は、予防が必要な医学的および社会経済的な問題であるが、実情について十分に把握できているとはいえない。愛媛県・平成病院の清水 秀明氏らは、1997~2016年に4回実施した愛媛県中山町における認知症サブタイプ横断研究の結果を解析し、認知症有病率の経年的傾向について報告した。その結果、認知症の有病率は、人口の高齢化以上に増加しており、高齢化だけでない因子が関与している可能性が示唆された。著者らは、認知症高齢者の増加を食い止めるためには、認知症発症率、死亡率、予後の経年的傾向や認知症の増進・予防に関連する因子の解明および予防戦略の策定が必要であるとしている。Psychogeriatrics誌オンライン版2022年6月26日号の報告。

認知症有病率は年齢標準化すると有意に増加

 愛媛県中山町に在住する65歳以上のすべての住民を対象とし、1997年、2004年、2012年、2016年の4回にわたり、認知症に関する横断的研究を実施した。すべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、その他/分類不能の認知症の有病率について、経年的傾向を調査した。

 アルツハイマー病など認知症の有病率について経年的傾向を調査した主な結果は以下のとおり。

・すべての原因による認知症の年齢標準化有病率は、有意に増加していた。
・アルツハイマー病、その他/分類不能の認知症においても同様の傾向が認められたが、血管性認知症では有意な変化が認められなかった。
【すべての原因による認知症の有病率】
1997年:4.5%、2004年:5.7%、2012年:5.3%、2016年:9.5%(P for trend<0.05)
【アルツハイマー病の有病率】
1997年:1.7%、2004年:3.0%、2012年:2.5%、2016年:4.9%(P for trend<0.05)
【血管性認知症の有病率】
1997年:2.1%、2004年:1.8%、2012年:1.8%、2016年:2.4%(P for trend=0.77)
【その他/分類不能の認知症の有病率】
1997年:0.8%、2004年:1.0%、2012年:1.0%、2016年:2.2%(P for trend<0.05)
・すべての原因による認知症とアルツハイマー病の粗有病率は、75~79歳および85歳以上の高齢者において、1997年から2016年に増加が認められた(すべてのP for trend<0.05)。
・同様の傾向は、80歳以上の高齢者において、その他/分類不能の認知症で認められたが(すべてのP for trend<0.05)、血管性認知症では認められなかった。

(鷹野 敦夫)