韓国・ソウル大学のSeungjae Hyun氏らは、うつ病と旅行との相互関係を調査した。その結果、旅行しない人はうつ病リスクが高くなり、旅行とうつ病との間には相互関係があることが報告された。Annals of General Psychiatry誌2022年8月10日号の報告。
うつ病リスクが1年間の旅行の有無で70%高く
プロスペクティブコホート研究である韓国縦断研究(Korean Longitudinal Study of Ageing)より2008~16年のデータを用いて、参加者8,524人(平均年齢:63.1±10.5歳)を抽出し、分析を行った。うつ病の診断には、10項目のうつ病自己評価尺度(CES-D10)を用い、スコア4以上をうつ病と定義した。統計分析は、一般化推定方程式および交差遅延パネルモデルを用いた。
うつ病と旅行との相互関係を調査した主な結果は以下のとおり。
・1年間旅行しなかった参加者は、旅行した参加者と比較し、翌年のうつ病リスクが71%高かった(相対リスク[RR]:1.71、p<0.001)。
・うつ病の参加者は、非うつ病の参加者と比較し、旅行しないリスクが2倍以上高かった(RR:2.08、p<0.001)。
・交差遅延パネルモデルでは、旅行での移動距離とうつ病のCES-D10スコアとの間に悪循環が観察された。より頻繁に旅行する参加者は、CES-D10スコアが低くなる傾向があり(係数:-0.04~-0.03、ps<0.01)、CES-D10スコアが高い参加者ほど、旅行する可能性が低かった(係数:-0.06~-0.03、ps<0.01)。
(鷹野 敦夫)