都市部または農村部で生活している高齢者において、日常生活での身体活動(PA)に違いがあるのか、さらにPAとうつ病との関連について、アイスランド大学のBirgitta R. Smaradottir氏らが調査を行った。Laeknabladid誌2020年10月号の報告。
2017~18年のアイスランド北部のデータを用いて、横断的人口ベースの調査を実施した。対象は、地域在住の65~92歳の高齢者175人(参加率:59.7%、女性の割合:43%)であり、地方在住者は40%であった。PAの測定には、Physical Activity Scale for the Elderly(PASE)を用い、PA合計スコアと余暇、家庭、仕事に関連するPAを反映するサブスコアを調査した。うつ症状の評価には、老年期うつ病評価尺度を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・都市部と農村部のPA合計スコアは同程度であった。
・性別では、男性は女性よりも活動的であった。
・年齢層では、65~74歳は75~92歳よりも活動的であった。
・農村部の高齢者は、都市部と比較し、仕事関連のPAが高かった。65~74歳のPAも75~92歳と比較し、同様であった。
・男性は女性よりも、家庭関連でのPAが高かった。
・PASEのPA合計スコアおよびサブスコアの高い高齢者では、抑うつ症状の少なさと有意な関連が認められた。
・余暇関連のPAは、PASEサブスコアの中で唯一、抑うつ症状の少なさと独立した関連が認められた。
著者らは「さまざまな状況に関連するPAは、健康上のベネフィットをもたらすと考えられるが、余暇関連のPAに注目することは、メンタルヘルスに最も有益な影響を及ぼすであろう」としている。
(鷹野 敦夫)