レビー小体型認知症(DLB)は、神経変性疾患による認知症のうち2番目に多いとされる。レビー小体型認知症は認知機能障害の変動を特徴としているが、認知機能症状が出現する前に、急速眼球運動、睡眠行動障害、精神症状、自律神経症状、パーキンソン症状などが認められることが多い。そのため、レビー小体型認知症の初期段階では他疾患と診断されることも少なくない。中国・天津医科大学のMin Fei氏らは、レビー小体型認知症の初期症状の特徴を調査し、レビー小体型認知症の早期診断に必要な手掛かりを得ようと試みた。その結果、レビー小体型認知症患者の初期症状は性別や年齢により違いが認められた。著者らは、レビー小体型認知症の初期症状を理解することでより正確な診断が可能となるであろうとまとめている。Frontiers in Neurology誌2022年10月12日号の報告。
レビー小体型認知症の初期症状で睡眠行動障害は女性よりも男性で多い
対象は、2015年9月~2021年3月にTianjin Huanhu Hospitalの認知症外来を受診したレビー小体型認知症が疑われる患者239例。すべての患者の初期症状をレトロスペクティブに調査した。初期症状の発症時期も併せて評価した。
レビー小体型認知症の初期症状の特徴を調査した主な結果は以下のとおり。
・レビー小体型認知症患者の初期症状は、以下の順で認められた。
●記憶障害:53.9%
●精神症状:34.7%
●睡眠行動障害:20.9%
●パーキンソン症状:15.1%
●自律神経症状:10.1%
・レビー小体型認知症患者の初期症状は、性別や年齢により有意な違いが認められた。
・睡眠行動障害は女性よりも男性で多く、幻覚や幻聴は男性よりも女性で多かった。
(鷹野 敦夫)