アルツハイマー病とレビー小体型認知症を鑑別するための描写機能分析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/10/19

 

 アルツハイマー病(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の早期鑑別診断は、治療や疾患管理において非常に重要であるが、依然として困難を極めている。コンピューターベースの描写機能分析がADとDLBの鑑別に役立つと考えられるが、この分野の研究は十分に行われていない。IBM東京基礎研究所の山田 康智氏らは、AD、DLB、認知機能正常(CN)において、描写プロセスを特徴付ける機能の違いを特定し、これらの機能を用いたADとDLBの特定および鑑別の有効性を評価するため、本研究を実施した。その結果、各群においてさまざまなタイプの描写機能に違いがあったことが認められ、これらの機能の組み合わせによりADとDLBの鑑別が促進される可能性が示唆された。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年9月20日号の報告。

 対象は地域在住高齢者123例(AD群:47例、レビー小体病[LBD]群:27例、年齢、性別、教育年数が一致したCN群:49例)。デジタルタブレットとペンを用いて描写データを収集し、描写速度、筆圧、一時停止の観点から描写機能を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・とくにLBD群において、描写速度および、速度と筆圧のスムーズさの低下が観察された。
・AD群とLBD群の両方で、一時停止時間および合計持続時間の増加が観察された。
・これらの機能の違いを用いた機械学習モデルにおけるAUCの比率は、AD群vs.CN群で0.80、LBD群vs.CN群で0.88、AD群vs.LBD群で0.77であった。

(鷹野 敦夫)