口腔乾燥症や口渇は唾液量の減少および欠如を起因とする状態であり、特定の薬剤の使用に続発してみられる。Joseph Katz氏らは、口腔乾燥症患者とセロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)使用との関連を分析した。その結果、SNRIを使用している患者は、使用していない患者と比較し、口渇リスクが約5倍であることが明らかとなった。結果を踏まえて著者らは、SNRIを処方する専門医、唾液の産生やQOLへのSNRIによる影響を認識していない医師、口腔乾燥症の治療に携わっている歯科医師にとって、本結果は有益な情報であろうと報告している。Quintessence International誌オンライン版2023年1月10日号の報告。
2015年6月~2022年9月の期間に、米国・フロリダ大学の統合データであるi2b2を用いて、口渇の診断(ICD-10)およびSNRI使用に関するデータを抽出した。オッズ比の算出には、MedCalc Softwareを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・SNRI使用の口渇リスクのオッズ比は、5.95(95%CI:5.47~6.48、p<0.0001)であった。
・性別または年代別のSNRI使用による口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。
●女性:5.48(95%CI:4.97~6.02、p<0.0001)
●男性:5.48(同:4.56~6.95、p<0.0001)
●小児:2.87(同:1.19~6.96、p=0.0192)
●成人:4.46(同:4.09~4.86、p<0.0001)
・使用するSNRIごとの口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。
●ベンラファキシン:5.83(同:5.12~6.60、p<0.0001)
●デュロキセチン:6.97(同:6.33~7.67、p<0.0001)
●desvenlafaxine:5.24(同:3.65~7.52、p<0.0001)
●ミルナシプラン:9.61(同:5.66~16.31、p<0.0001)
(鷹野 敦夫)