児童期の発達にとって重要とされる外遊びは、とくに女児において運動有能感を向上させ、自発的な身体活動を促進する可能性があることが、神戸大学大学院保健学研究科のRyo Goto氏らによる研究で明らかになった。Children誌2023年1月10日号の報告。
児童期の外遊びは年々減少傾向にある。運動有能感の向上は、外遊びやスポーツクラブなどでの身体活動を促進するが、運動有能感と外遊びとの関係はわかっていなかった。今回、児童における運動有能感の向上と外遊びとの関係を調査し、男女間で差があるかどうかを調べる目的で横断研究が行われた。
筆者らは、兵庫県神戸市の公立小学校2校に在籍する4~6年生の児童288人(9~12歳、女児134人)を対象に、独自のアンケートを使用して外遊びの評価を行った。アンケートでは、平日ごとの外遊びの時間を児童らに報告してもらい、1時間以上、3回外で遊んだ場合を「高」と分類した。運動有能感は、岡澤 祥訓氏らによる自己記入式の質問票(1996年)の12項目5段階のリッカート尺度で評価した。年齢、性別、BMI、スクリーンタイム、スポーツクラブへの参加、友人の数で調整した後、ロジスティック回帰分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・運動有能感が良好な児童は、外遊び「高」に分類される可能性が有意に高かった(粗オッズ比[OR]:1.04、95%信頼区間[CI]:1.00~1.08、調整後OR:1.04、95%CI:1.00~1.08、ともにp<0.05)。
・性別による層別化分析では、運動有能感が良好な女児は、外遊び「高」と分類される可能性が有意に高かった(粗オッズ比:1.08、95%CI:1.01~1.15、p<0.05、調整後OR:1.09、95%CI:1.02~1.17、p<0.01)。
(ケアネット 溝口 ありさ)