アナモレリン投与、日本人5,000例のリアルワールドデータ/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

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公開日:2023/04/03

 

 グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)は、2021年1月に非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、膵臓がん、大腸がんに伴う悪液質治療として国内で保険承認された。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)において、室 圭氏 (愛知県がんセンター 副院長/薬物療法部長)が国内の患者約5,000例を対象とした市販後全例調査(PMS)の中間解析結果を発表した。

アナモレリンの市販後全例調査の解析で新たな安全性の懸念は認められず

 市販後全例調査では、2021年4月21日以降にアナモレリンを投与された全患者が登録された。アナモレリン治療開始後の観察期間は1年であった。1年より前に治療を中止した場合、観察期間の終了日は最終投与日とした。中間解析は2022年7月21日時点のデータに基づいて行われ、対象となったのは4,672例であった。

 アナモレリンの市販後全例調査の主な結果は以下のとおり。

・安全性の評価対象患者は4,672例で2,960 例(63.4%)が男性、年齢中央値は72歳、1,791例(38.3%)が75歳以上であった。1,955例(41.8%)がPS 2~4、BMIの中央値は18.9kg/m2、2,751例(58.9%)が低BMI(20kg/m2未満)であった。
・がん種の内訳はNSCLCが1,282例、胃がん1,140例、膵臓がん1,238例、大腸がん964例だった。
・アナモレリンの投与期間中央値は36日、治療期間は1~22日(1,742例、37.3%)、23~43日(850例、18.2%)、44~64日(416例、10.0%)、65~85日(1,48例、31.9%)、86日以上(125例、2.7%)だった。
・有害事象は12.6%(587/4,672例)で発生し、Grade3以上は2.8%(131/4,672例)だった。承認時に安全性評価項目としてピックアップされた毒性では、高血糖4.2%(198/4,672例)、肝機能障害1.1%(53/4,672例)、伝導障害0.7%(34/4,672例)の頻度で発生した。
・12週間後、体重は平均1.4kg増加、FAACTスコアは4.9ポイント改善した。
・食事摂取量について、投与3週間後には57%、12週間後には65.2%の患者が「増加した」と回答した。
・12週間後のPSは改善が14.8%(197/4,672例)、維持が67.0%(893/4,672例)だった。

 室氏は「市販後全例調査による解析の結果、新たな安全性の懸念は認められず、承認時の臨床試験において報告された体重および食欲の改善が確認された。これらのデータは中間解析の結果であり、さらなるデータの蓄積と解析が必要だ」と述べた。

(ケアネット 杉崎 真名)