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進行NSCLC、腫瘍治療電場療法を標準治療に上乗せでOS改善(LUNAR)/ASCO2023 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2023/06/14 腫瘍治療電場(TTフィールド)療法は、さまざまな機序で非侵襲的にがん細胞を死滅させる治療法で、すでに膠芽腫および悪性胸膜中皮腫に対する治療として、米国食品医薬品局(FDA)により承認されている(本邦では、膠芽腫について薬事承認を取得[保険適用は初発膠芽腫のみ])。非小細胞肺がん(NSCLC)については、前臨床モデルで免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やタキサン系抗がん剤の効果を増強することが報告されている1-3)。そこで、転移を有するNSCLC患者を対象に、TTフィールド療法の標準治療への上乗せ効果を検証する海外第III相試験「LUNAR試験」が実施された。その結果、TTフィールド療法の上乗せにより、全生存期間(OS)が有意に改善した。本結果について、米国・エモリー大学Winship Cancer InstituteのTiciana Leal氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。 ・試験デザイン:海外第III相無作為化比較試験 ・対象:プラチナ製剤で治療中または治療後に進行が認められた、転移を有する22歳以上のNSCLC患者276例 ・試験群(TTフィールド+標準治療群):TTフィールド療法(150kHzを1日18時間以上)+標準治療(ICI[ペムブロリズマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブのいずれか]またはドセタキセルを治験担当医師が選択) 137例 ・対照群(標準治療群):上記と同様の標準治療 139例 ・評価項目: [主要評価項目]OS(TTフィールド+標準治療群vs.標準治療群) [主要な副次評価項目]OS(TTフィールド+ICI群vs.ICI群、TTフィールド+ドセタキセル群vs.ドセタキセル群) [副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、組織型別のOS、組織型別のPFS、安全性など 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン時の患者背景は、年齢中央値64歳(範囲:22~86歳)、男性が65%、ECOG PS 0/1が96%、前治療のライン数1が89%、ICIによる前治療歴ありが31%であった。 ・ITT集団におけるOS中央値は、標準治療群が9.9ヵ月であったのに対し、TTフィールド+標準治療群は13.2ヵ月であり、TTフィールド+標準治療群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.74、95%信頼区間[CI]:0.56~0.98、p=0.035)。1年OS率はそれぞれ42%、53%、3年OS率はそれぞれ7%、18%であった。 ・ICIによる治療を受けたサブグループにおけるOS中央値は、ICI群が10.8ヵ月であったのに対し、TTフィールド+ICI群は18.5ヵ月であり、TTフィールド+ICI群で有意に改善した(HR:0.63、95%CI:0.41~0.96、p=0.03)。 ・ドセタキセルによる治療を受けたサブグループにおけるOS中央値は、ドセタキセル群が8.7ヵ月、TTフィールド+ドセタキセル群が11.1ヵ月であり、有意差は認められなかった(HR:0.81、95%CI:0.55~1.19、p=0.28)。 ・組織型別のOS中央値は、非扁平上皮NSCLCで標準治療群が9.9ヵ月、TTフィールド+標準治療群が12.6ヵ月であった(HR:0.80、95%CI:0.54~1.16、p=0.28)。扁平上皮NSCLCでは、それぞれ10.1ヵ月、13.9ヵ月であった(HR:0.67、95%CI:0.44~1.01、p=0.05)。 ・ITT集団におけるPFS中央値は、標準治療群が4.1ヵ月、TTフィールド+標準治療群が4.8ヵ月であり、有意差は認められなかった(HR:0.85、95%CI:0.67~1.11、p=0.23)。 ・ITT集団におけるORRは、標準治療群が17%、TTフィールド+標準治療群が20%であり、有意差は認められなかった(p=0.5)。完全奏効(CR)は標準治療群が1例であったのに対し、TTフィールド+標準治療群が4例であった。 ・有害事象は、標準治療群の91%、TTフィールド+標準治療群の97%に発現した。皮膚炎がそれぞれ2%、43%に発現し、TTフィールド+標準治療群で多かったが、Grade3以上のものはそれぞれ0%、2%であった。肺臓炎や免疫関連有害事象の発現率は両群に差がみられなかった。TTフィールド療法に関連があると判断された有害事象に、Grade4以上のものはなかった。 本結果についてLeal氏は、「TTフィールド療法は第III相試験(LUNAR試験)において主要評価項目を達成した。TTフィールド療法は、プラチナ製剤で治療中または治療後に進行が認められた転移を有するNSCLCに対する標準治療の選択肢として考慮されるべきである」とまとめた。また、未治療の進行NSCLC患者を対象としたTTフィールド療法の標準治療への上乗せ効果を検討する試験も進行中とのことである。 (ケアネット 佐藤 亮) 参考文献・参考サイトはこちら 1)Giladi M, et al. Semin Oncol. 2014;41(Suppl 6):S35-41. 2)Voloshin T, et al. Cancer Immunol Immunother. 2020;69:1191-1204. 3)Barsheshet Y, et al. Int J Mol Sci. 2022;23:14073. LUNAR試験(ClinicslTrials.gov) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 悪性神経膠腫〔malignant glioma〕 希少疾病ライブラリ(2022/06/16) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] tisotumab vedotin、再発子宮頸がんの2次・3次治療に有効/NEJM(2024/07/17) 進行期古典的ホジキンリンパ腫の1次治療、BrECADDが有効/Lancet(2024/07/17) 低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響〜メタ解析(2024/07/17) 食道がんの術前化学療法前のZn濃度、早期再発に影響(2024/07/17) スパイロなしでも胸部X線画像で呼吸機能が予測可能!?(2024/07/17) 重要性を増すゲノム診療科、その将来ビジョン/日本動脈硬化学会(2024/07/17) 新型コロナの抗原検査は発症から2日目以降に実施すべき(2024/07/17) [ あわせて読みたい ] エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)