中年期以降の排便習慣と認知症との関連について国立がん研究センター中央病院の清水 容子氏らが解析した結果、男女とも少ない排便回数および硬い便が高い認知症リスクと関連することが示された。Public Health氏オンライン版2023年6月29日号に掲載。
認知症発症リスク、排便回数1回/日と比較して3回/週未満でハザード比1.79
本研究は、介護保険の認定記録を用いたコホート研究で、JPHC研究における8地区で排便習慣を報告した50~79歳の参加者を対象に、2006~16年の認知症の発症について調査した。生活習慣因子や病歴を考慮したCox比例ハザードモデルを用いて、男女別にハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。
中年期以降の排便習慣と認知症との関連について解析した主な結果は以下のとおり。
・男性1万9,396人中1,889人、女性2万2,859人中2,685人が認知症と診断された。
・排便回数について、1回/日と比較した多変量調整HR(95%CI)は男性、女性の順で以下のとおり(傾向のp値:男性<0.001、女性0.043)。
2回/日以上:1.00(0.87~1.14)、1.14(0.998~1.31)
5~6回/週:1.38(0.16~1.65)、1.03(0.91~1.17)
3~4回/週:1.46(1.18~1.80)、1.16(1.01~1.33)
3回/週未満:1.79(1.34~2.39)、1.29(1.08~1.55)
・便の硬さについて、正常な便と比較した調整HR(95%CI)は男性、女性の順で以下のとおり(傾向のp値:男性0.0030、女性0.024)。
硬い便:1.30(1.08~1.57)、1.15(1.002~1.32)
非常に硬い便:1.84(1.29~2.63)、2.18(1.23~3.85)
(ケアネット 金沢 浩子)