COVID-19罹患前の睡眠状態が長期的な罹患後症状に影響

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/13

 

 多くのCOVID-19生存者が長期にわたる罹患後症状を経験しており、公衆衛生上の深刻な問題となっている。これまでのところ、COVID-19罹患後症状の状態に影響を及ぼすリスク因子の特定はあまり進んでいない。イタリア・ラクイラ大学のFederico Salfi氏らは、COVID-19の長期的な罹患後症状の発生に対する感染前の睡眠の質や時間、不眠症の重症度の影響について評価を行った。その結果、感染前の睡眠の質/量および不眠症重症度には、罹患後症状の発生数と用量依存的な関連性があることが示唆された。著者らは、「睡眠の健康状態の予防的な改善がCOVID-19の罹患後症状を軽減できるかを判断するためには、さらなる研究が必要である」としている。Brain, Behavior, and Immunity誌8月号の報告。

 本研究は、2020年4月と2022年4月の2つの評価を含めたプロスペクティブ研究である。ベースライン時(2020年4月)に、SARS-CoV-2感染が現在または過去にない参加者において、睡眠の質/時間、不眠症状を評価した。睡眠状態の評価には、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、不眠症重症度質問票(ISI)を用いた。フォローアップ時(2022年4月)には、COVID-19生存者に対し、罹患後1ヵ月(713例、2020年4月~2022年2月に感染)および3ヵ月(333例、2020年4月~2021年12月に感染)の21症状の有無をレトロスペクティブに調査した。また、COVID-19から完全に回復するまでの期間も調査した。長期的な罹患後症状の数に対する感染前の睡眠状態の影響を推定するため、zero-inflated負の二項回帰モデルを用いた。睡眠変数、罹患後症状それぞれの発生率と、感染4週後/12週後の回復割合との関連性の評価には、二項ロジスティック回帰を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・感染前の睡眠状態が、COVID-19後1ヵ月/3ヵ月の罹患後症状の数に大きく影響していることが明らかとなった。
・過去にPSQIスコア、ISIスコアが高く、睡眠時間が短い人では、COVID-19後1ヵ月/3ヵ月の時点におけるほぼすべての長期的な罹患後症状のリスクが有意に高かった。
・ベースライン時の睡眠障害は、COVID-19後、感染前の日常的な機能レベルに戻るまでの期間が長期化することとも関連していた。

(鷹野 敦夫)