進行NSCLC、治療開始前に遺伝子検査結果があるとOS良好

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/09

 

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)と診断された患者において、がん遺伝子検査が推奨されているが、1次治療開始前における遺伝子検査の結果の有無と全生存期間(OS)との関連は明らかになっていない。そこで、米国・ペンシルベニア大学のCharu Aggarwal氏らは、転移を有する非扁平上皮NSCLC患者を対象に、1次治療開始前における遺伝子パネル検査の結果の有無とOSとの関連を検討した。その結果、1次治療開始前に遺伝子パネル検査の結果が得られている患者はOSが良好であり、分子標的薬による治療を受けていない患者集団においても、同様の結果が得られた。本研究結果は、JCO Precision Oncology誌2023年7月27日号で報告された。

 転移を有する非扁平上皮NSCLCと新たに診断された患者を対象に、電子カルテを用いた研究を実施した。対象患者を1次治療開始前に、遺伝子パネル検査の結果が得られた患者(検査結果あり群)と結果が得られなかった患者(検査結果なし群)に分け、OSを比較した。また、1次治療開始前における遺伝子パネル検査結果の有無について、組織検体と血漿検体を用いた場合と組織検体のみを用いた場合を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者326例中、1次治療開始前に遺伝子パネル検査の結果が得られたのは80%(261例)、得られなかったのは20%(65例)であった。検査結果が得られなかった65例のうち、5例は遺伝子パネル検査を受けていなかった。
・追跡期間中央値14.2ヵ月において、検査結果あり群は検査結果なし群と比較して、OSが有意に長かった(調整ハザード比:0.43、95%信頼区間[CI]:0.30~0.62、p<0.0001)。
・分子標的薬による治療を受けていない患者集団においても、検査結果あり群は検査結果なし群と比較して、OSが有意に長かった(p<0.0001、log-rank検定)。
・組織検体と血漿検体を用いて遺伝子検査を行った患者は、組織検体のみの患者と比較して、1次治療開始前に遺伝子パネル検査の結果が得られる割合が高かった(調整オッズ比:2.06、95%CI:1.09~3.90、p=0.026)。

 本研究結果について、著者らは「1次治療を開始する前に、がんゲノムプロファイリングを完了すべきであることを示すものである」とまとめた。

(ケアネット 佐藤 亮)