日本人の1日当たりの食塩摂取量は、令和元年(2019年)に実施された国民健康・栄養調査結果よると平均10.1g(男性10.9g、女性9.3g)と報告されており1)、世界保健機関(WHO)の推奨量(5g/日未満)の約2倍となっている。そこで、熊本県立大学の杉本 真依子氏らは、ラーメンを穴あきれんげを用いて食べた場合と、通常のれんげを用いて食べた場合に、食塩摂取量や味、満腹感が変わるか検討した。その結果、穴あきれんげを用いた場合、食塩摂取量は減少したが、味や満腹感に変化がなかったことが示された。本研究結果は、Nutrients誌2023年6月27日号で報告された。
男子大学生36人を対象に、無作為化クロスオーバー試験を実施した。試験食として、日本人の消費量が多く、食塩を多く含有するラーメンを選択し、箸と穴あきれんげを用いて食べた場合と、箸と通常のれんげを用いて食べた場合のスープの摂取量、おいしさ、食後の満腹感などを比較した。
主な結果は以下のとおり。
・食塩摂取量の中央値は、穴あきれんげを用いた場合1.8g、通常のれんげを用いた場合2.4gであり、穴あきれんげを用いた場合に有意な減少が認められた(p=0.019)。
・おいしさの評価について、用いるれんげによって差は認められなかった。
・同様に、用いるれんげによって、食後の満腹感にも差は認められなかった。
・5人(14%)はいずれのれんげを用いた場合でも、スープを飲み干した。
著者らは、「穴あきれんげによる減塩効果について、女性やほかの年齢層における研究が必要である」と述べつつ、「本研究結果から、れんげの形状の変更は、健康に無関心な人などの食塩摂取量を減らすための対策の1つとなる可能性がある」とまとめた。
(ケアネット 佐藤 亮)