鼻をほじる医療者は、コロナ感染リスク増

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/17

 

 医療従事者はCOVID-19の感染リスクが高く、マスク、ガウン、ゴーグル/フェイスシールド、手袋などの個人防護具(PPE)装着をはじめとした感染対策を取るケースが多い。にもかかわらず医療従事者の感染者が多い理由を探るため、PPE装着や飛沫を受けることに関連する可能性のある、鼻をほじるなどの特定の行動・身体的特徴を調査する研究が行われた。オランダ・アムステルダム大学のA H Ayesha Lavell氏らによる本研究の結果は、PLOS ONE誌オンライン版2023年8月2日号に掲載された。

鼻をほじることが病院内のコロナ感染拡大につながる可能性

 研究者らは、オランダの2つの大学医療センターに勤務する医療従事者404例を対象としたコホート研究において、特定の行動・身体的特徴が感染リスクと関連しているかどうかを調査した。感染との関連を調査した具体的な行動は以下のものだった。
・鼻をほじる
・爪をかむ
・眼鏡を掛ける
・ひげを生やす

 医療従事者のコロナ感染者が多い理由を探るため、鼻をほじるなどの特定の行動・身体的特徴を調査する研究の主な結果は以下のとおり。

・404例にコロナ感染率に影響を及ぼす可能性のある習慣に関するオンライン調査を行い、計219例(回答率52%)が回答した。
・以前の研究から「COVID-19患者のケアに従事している」「COVID-19に感染した同僚または地域住民と接触した」ことが感染リスク増と関連があると示されていたため、これらの因子で分類し、結果を調整した。期間中2つの病院は院内のPPE着用ルールをはじめ、同一の感染制御対策を実施した。
・参加者の大多数(185例、85%)が偶発的に鼻をほじると回答し、その頻度は月1回、週1回、毎日とさまざまであった。鼻をほじる群はほじらない群よりも若く(年齢中央値44歳vs.53歳)、男性のほうがより頻繁に鼻をほじる(90% vs.83%)と報告した。鼻をほじる頻度が最も高かったのは医師(研修医:100%、専門家:91%)、次いでサポートスタッフ(86%)、看護師(80%)であった。
・2020年3~10月の追跡期間中に34例(15.5%)がCOVID-19の陽性判定を受けた。COVID-19発症率は、鼻をほじる群がほじらない群と比較して高かった(32/185例:17.3% vs.2/34例:5.9%、オッズ比:3.80、95%信頼区間:1.05~24.52)。
・爪をかむ、眼鏡を掛ける、ひげを生やすこととCOVID-19感染率との有意な関連は認められなかった。

 研究者らは「鼻をほじることが病院内の感染拡大につながる可能性があり、そのリスクは過小評価されている。今後の研究結果次第では、教育セッションや感染予防ガイドラインの推奨に加えるなど、より意識を高める必要があるだろう」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)