熊本・弓削病院の後藤 純一氏らは、双極性障害の再入院に対するアリピプラゾール月1回製剤(AOM)の効果を調査するため、1年間のレトロスペクティブミラーイメージ研究を実施した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年8月10日号の報告。
参加者は、西日本の精神科救急病院および急性期病院から募集した。対象者は、観察期間中に医療記録が欠落しておらず、1年以上のAOM治療が実施された双極性障害患者39例。主要アウトカムは、精神科再入院と関連する再入院率、再入院数、総入院日数、再入院までの期間とした。有意水準は、p<0.05で設定した。
主な結果は以下のとおり。
・AOM治療により再入院率は、59%(23/39例)から18%(7/39例)へと有意な減少が認められた(p=0.001)。
・再入院数は、平均0.85/人年から0.41/人年へと有意な減少が認められた(p=0.048)。
・総入院日数は、平均34.9日から14.4日へと有意な減少が認められた(p=0.008)。
・AOM治療により再入院までの期間の有意な延長が観察された(p<0.001)。
結果を踏まえて、著者らは「リアルワールドでの双極性障害に対する1年間のAOM治療は、精神科再入院リスクの低減に有用であることが示唆された。今後、よりサンプルサイズが大きく、1年以上の観察期間を用いたAOM治療による再発予防効果を検証する試験により、堅牢性や持続性を調査する必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)