コーヒー・緑茶で貯蔵鉄が減少、閉経後女性は多飲に注意?~J-MICC佐賀地区研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/09/12

 

 コーヒーや緑茶の摂取は、腸において鉄の吸収を阻害することにより、体内の貯蔵鉄の量を減少させると考えられている。貯蔵鉄が過剰となると酸化ストレスが増加し、心血管疾患やがんの発症リスクとなるため、コーヒーや緑茶の摂取がこれらのリスクを低下させる可能性が指摘されている。しかし、過剰摂取は鉄欠乏を招く可能性もある。そこで、南里 妃名子氏(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所)らの研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)佐賀地区の調査に参加した1万435人を対象として、コーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値との関係を検討した。その結果、男性および閉経後女性では、コーヒー、緑茶はいずれも摂取量が多いほど血清フェリチン値が低かった。閉経前女性では、緑茶の摂取量のみに同様の関連が認められた。また、閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏が多くみられた。本研究結果は、Frontiers in Nutrition誌2023年8月10日号に掲載された。

 2005~07年において、J-MICC Study佐賀地区の調査に参加した40~69歳の健康成人1万435人を対象として、性別、閉経の有無別にコーヒーおよび緑茶の摂取量と血清フェリチン値の関係を検討した。また、鉄欠乏(血清フェリチン値12μg/L未満)との関係も検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・血清フェリチン値の中央値は男性115.0μg/L、閉経前女性13.7μg/L、閉経後女性63.7μg/Lであった。
・鉄摂取量やビタミンC摂取量を含む多変量解析の結果、男性ではコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.016)。
・同様に、閉経後女性においてもコーヒー、緑茶の摂取量と血清フェリチン値にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.023、<0.001)。
・閉経前女性では、緑茶の摂取量と血清フェリチン値に負の関連が認められたが(p for trend=0.01)、コーヒーの摂取量との関連は認められなかった。
・同様にコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏との関連を検討した結果、閉経後女性ではコーヒー、緑茶の摂取量と鉄欠乏にはいずれも負の関連が認められた(それぞれp for trend=0.004、0.049)。男性、閉経前女性には関連が認められなかった。
・閉経後女性において、コーヒーを1日3杯以上飲む人は飲まない人と比べて、鉄欠乏の割合が有意に高率であった(4.8% vs.2.3%、オッズ比:2.20、95%信頼区間:1.06~4.56)。

(ケアネット 佐藤 亮)