眼科疾患と認知症リスク~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/09/21

 

 一般的な眼科疾患と認知症との関係を調査するため、中国・Shenzhen Qianhai Shekou Free Trade Zone HospitalのJiayi Feng氏らは、コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、眼科疾患は、すべての原因による認知症やアルツハイマー病のリスク増加と関連している可能性が示唆された。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2023年7月29日号の報告。

 対象は、眼科疾患を有する患者。2022年8月25日までに公表された文献をPubMed、EMBASE、Web of Scienceなどのオンラインデータベースより、システマティックに検索した。緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、白内障とすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症との関連を評価したコホート研究をメタ解析に含めた。ランダム効果モデルを用いてプールし、相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。不均一性の評価には、I2統計を用いた。サブグループ分析および感度分析を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・研究25件、参加者1,141万709例をメタ解析に含めた。
・AMD、緑内障、DR、白内障は、すべての原因による認知症およびアルツハイマー病のリスク増加との関連が認められた。それぞれの統合された推定値は、以下のとおりであった。
●すべての原因による認知症
 【AMD】RR:1.29、95%CI:1.13~1.48
 【緑内障】RR:1.16、95%CI:1.03~1.32
 【DR】RR:1.40、95%CI:1.21~1.63
 【白内障】RR:1.23、95%CI:1.09~1.40
●アルツハイマー病
 【AMD】RR:1.27、95%CI:1.06~1.52
 【緑内障】RR:1.18、95%CI:1.02~1.38
 【DR】RR:1.21、95%CI:1.04~1.41
 【白内障】RR:1.22、95%CI:1.07~1.38
・血管性認知症発症と眼科疾患との関連は、認められなかった。
・サブグループ分析では、DRとすべての原因による認知症リスクとのメタ解析の結果と一致しなかった。
・メタ回帰分析では、AMDとすべての原因による認知症、AMDとアルツハイマー病、緑内障とすべての原因による認知症、緑内障とアルツハイマー病との関連に、不均一な潜在的な原因として地理的要因が影響していることが示唆された。

(鷹野 敦夫)