センチネルリンパ節生検(SLNB)は早期乳がんの腋窩リンパ節転移を調べる標準的な方法だが、リンパ節検査のための腋窩手術は治療が目的ではないため、その必要性が問われる場合もある。今回、超音波検査でリンパ節転移の疑いのない腫瘍径2cm以下の乳がん患者における無作為化試験(SOUND試験)で、腋窩手術を受けなかった群の5年遠隔無病生存(DDFS)率がSLNBを受けた群に対して非劣性を示したことを、イタリア・Istituto di Ricovero e Cura a Carattere ScientificoのOreste Davide Gentilini氏らが報告した。JAMA Oncology誌オンライン版2023年9月21日号に掲載。
本試験は、イタリア、スイス、スペイン、チリで実施された前向き第III相無作為化非劣性試験である。2012年2月6日~2017年6月30日に、腫瘍径2cm以下かつ超音波検査で腋窩リンパ節転移の疑いのない1,463例の女性を登録し、SLNBを受ける群(SLNB群)と腋窩手術を受けない群(腋窩手術なし群)に1対1に無作為に割り付けた。ITT解析対象は1,405例、主要評価項目は5年DDFS率であった。
主な結果は以下のとおり。
・ITT解析に組み入れられた1,405例(年齢中央値:60歳)を、SLNB群708例、腋窩手術なし群697例に無作為化した。
・腫瘍径の中央値は1.1cm(四分位範囲:0.8~1.5)で、1,234例(87.8%)がエストロゲン受容体(ER)陽性HER2陰性であった。SLNB群では、97例(13.7%)が腋窩リンパ節転移陽性であった。
・5年DDFS率は、SLNB群で97.7%、腋窩手術なし群で98.0%であった(log-rank p=0.67、ハザード比:0.84、90%信頼区間:0.45~1.54、非劣性のp=0.02)。
・SLNB群では局所再発12例(1.7%)、遠隔転移13例(1.8%)、死亡21例(3.0%)、腋窩手術なし群では局所再発11例(1.6%)、遠隔転移14例(2.0%)、死亡18例(2.6%)だった。
著者らは「これらの結果は、腫瘍が小さく、超音波検査で腋窩リンパ節転移のない乳がん患者は、病理学的情報の欠如が術後治療計画に影響を及ぼさない限り、安全に腋窩手術を免れられることを示唆する」としている。
(ケアネット 金沢 浩子)