慢性片頭痛(CM)患者は、急性頭痛薬を服用していることが多く、その結果として薬物乱用(MO)状態に至ることが少なくない。静岡赤十字病院の今井 昇氏らは、MOの有無を問わない日本人CM患者に対するフレマネズマブの有効性を評価するため、第IIb/III相試験の事後分析を実施した。その結果、フレマネズマブはMOの有無にかかわらず、日本人CM患者の片頭痛予防に有効であり、MOの軽減にも有益であることが示唆された。Neurology and Therapy誌オンライン版2023年9月11日号の報告。
多施設共同二重盲検並行群間第IIb/III相試験では、患者を月1回フレマネズマブ皮下投与群(初回投与量:675mg、2回目・3回目投与量:225mg)、四半期ごとフレマネズマブ皮下投与群(初回投与量:675mg、2回目・3回目投与:プラセボ)、プラセボ群(いずれの投与もプラセボ)に1:1:1でランダムに割り付け、3ヵ月間投与を行った。本事後分析では、MOの有無を問わず日本人CM患者(1ヵ月当たりの使用:急性頭痛薬15日以上、片頭痛特異的急性治療薬10日以上、10日以上の併用)のデータを分析した。アウトカムには、オリジナルのエンドポイントである中等度以上の平均頭痛日数、平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合、MOのない状態に変化した患者の割合を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・登録患者479例のうち、ベースライン時にMOが認められた患者は320例(66.8%)であった。
・1ヵ月当たりの平均頭痛日数は、MOの有無にかかわらず、フレマネズマブ群においてプラセボ群よりも有意な減少が認められた。
【MOあり】月1回群:-2.0±0.6(p=0.0012)、四半期ごと群:-1.8±0.6(p=0.0042)
【MOなし】月1回群:-1.6±0.8(p=0.0437)、四半期ごと群:-1.5±0.8(p=0.0441)
・平均頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、MOの有無にかかわらず、フレマネズマブ群においてプラセボ群よりも有意な減少が認められた。
【MOあり】月1回群:28例/108例、25.9%(p=0.0040)、四半期ごと群:25例/99例、25.3%(p=0.0070)、プラセボ群:12例/111例、10.8%
【MOなし】月1回群:18例/50例、36.0%(p=0.0132)、四半期ごと群:21例/60例、35.0%(p=0.0126)、プラセボ群:7例/49例、14.3%
・MOのない状態に変化した患者の割合は、フレマネズマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった(月1回群:50例/108例、46.3%[p=0.0115]、四半期ごと群:44例/99例、44.4%[p=0.0272]、プラセボ群:33例/111例、29.7%)。
(鷹野 敦夫)