慢性片頭痛(CM)患者に対し、抗CGRPモノクローナル抗体製剤フレマネズマブによる治療は有効であり、効果発現が早く、忍容性が良好であることが臨床試験で示されている。近畿大学の西郷 和真氏らは、日本人CM患者におけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、2つの臨床試験(Japanese and Korean CM Phase 2b/3、HALO CM Phase 3)のサブグループ解析を実施した。著者らは、「サブグループ解析の限界にもかかわらず一貫した結果が得られており、日本人CM患者に対するフレマネズマブの有効性および忍容性が裏付けられた」と報告している。Journal of Pain Research誌2023年4月20日号の報告。
両試験では、適格基準を満たしたCM患者を、フレマネズマブ皮下投与月1回群、同3ヵ月に1回群、プラセボ群(4週間隔)にランダムに割り付けた(1:1:1)。主要エンドポイントは、初回投与から12週間における、1ヵ月(28日間)当たりの中等度~重度の頭痛日数のベースラインからの平均変化であった(最初の4週間:MMRM分析、12週間:ANCOVA分析)。副次エンドポイントには、薬物使用や障害など、有効性以外の項目も含まれた。
主な結果は以下のとおり。
・日本人患者は、Japanese and Korean CM Phase 2b/3試験に479例、HALO CM Phase 3試験に109例が含まれていた。
・両試験ともに、ベースラインおよび治療の特徴は、治療群間で類似していた。
・ANCOVA分析による主要エンドポイントのサブグループ解析では、日本人CM患者に対するフレマネズマブ治療はプラセボよりも優れていることが実証された(両試験とも、フレマネズマブ3ヵ月に1回:p=0.0005、フレマネズマブ月1回:p=0.0002)。
・MMRM分析では、フレマネズマブ治療の効果発現の早さが確認された。
・副次エンドポイントの結果では、日本人CM患者に対するフレマネズマブ治療の有効性がさらに裏付けられた。
・フレマネズマブは、最も一般的な有害事象である上咽頭炎および注射部位反応に対する忍容性が良好であった。
(鷹野 敦夫)