抗精神病薬関連の流涎症に対する薬理学的介入~メタ解析

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2023/11/14

 

 抗精神病薬に関連する流涎症は大きな問題の1つであるが、エビデンスベースの治療ガイダンスは不十分である。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、抗精神病薬関連の流涎症に対する薬理学的介入について、ネットワークメタ解析を実施した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2023年10月11日号の報告。

 成人患者を対象とした抗精神病薬誘発性流涎症に関するRCT研究(公開/非公開)をPubMed Central、PsycInfo、Cochrane Central database、Clinicaltrials.gov、WHO-ICTRP、中国電子ジャーナルデータベース(Qikan.cqvip.com)で検索した(2023年6月12日まで)。グローバル/ローカルでの不一致、出版バイアス、バイアスリスク(RoB2)、エビデンスの確実性を評価するため、サブグループ/感度分析を行った。主要有効性アウトカムは、唾液産生の変化(標準化平均差:SMD)、研究で定義された治療反応(リスク比:RR)とした。忍容性アウトカムは、すべての原因による中止(RR)をした。薬剤ごとに評価し、作用機序の評価は副次的なものとした。

 主な結果は以下のとおり。

・34件のRCTをシステマティックにレビューし、33件(1,958例)をネットワークメタ解析に含めた。
・すべての介入は、精神疾患患者のクロザピン誘発性流涎症に対する介入であった。
・プラセボと比較し、治療反応が良好であった薬剤は以下のとおりであった。
 ●メトクロプラミド(RR:3.11、95%信頼区間[CI]:1.39~6.98)
 ●シプロヘプタジン(RR:2.76、95%CI:2.00~3.82)
 ●スルピリド(RR:2.49、95%CI:1.65~3.77)
 ●プロパンテリン(RR:2.39、95%CI:1.97~2.90)
 ●ジフェンヒドラミン(RR:2.32、95%CI:1.88~2.86)
 ●benzhexol(RR:2.32、95%CI:1.59~3.38)
 ●doxepin(RR:2.30、95%CI:1.85~2.88)
 ●amisulpride(RR:2.23、95%CI:1.30~3.81)
 ●クロルフェニラミン(RR:2.20、95%CI:1.67~2.89)
 ●アミトリプチリン(RR:2.09、95%CI:1.34~3.26)
 ●アトロピン(RR:2.03、95%CI:1.22~3.38)
 ●astemizole(RR:1.70、95%CI:1.28~2.26)
・作用機序別の評価では(28研究、1,821例)、抗ムスカリン薬(RR:2.26、95%CI:1.91~2.68)、ベンズアミド(RR:2.23、95%CI:1.75~3.10)、三環系抗うつ薬(RR:2.23、95%CI:1.83~2.72)、抗ヒスタミン薬(RR:2.18、95%CI:1.83~2.59)は、プラセボよりも良好であった。
・直接比較では、astemizoleとイプラトロピウムは、いくつかの介入において良好な成績が認められた。
・作用機序別の継続的な有効性は、ベンズアミドを除き、プラセボよりも良好であった。
・夜間流涎症に関して、ベンズアミド、アトロピンは、プラセボよりも良好な結果は認められなかった。
・便秘または眠気は、プラセボと比較し有意な差は認められなかった。

(鷹野 敦夫)