コロナの急性期症状、男女差は?

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/01

 

 男性のほうが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状が重症化しやすく死亡率が高いという、性別による差異が報告されている。その理由として、男性のほうが喫煙率や飲酒率、予後悪化に関連する併存疾患を有している割合が高いなどの健康格差が示唆されている1)。今回、COVID-19の急性期症状の性差を調査したところ、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定された男性では発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性よりも高いことが、米国・テキサス大学ヒューストン健康科学センターのJenil R. Patel氏らにより明らかになった。Preventive Medicine Reports誌2023年10月号掲載の報告。

 対象は、アーカンソー医科大学でRT-PCR検査を受けた成人であった。パンデミック当初はCOVID-19関連の症状を有する人や濃厚接触者が検査対象であったが、その後、症状や曝露の有無にかかわらずすべての希望者に拡大した。COVID-19関連の症状(発熱、咳、息切れ、咽頭痛、悪寒、筋肉痛、頭痛、味覚・嗅覚障害)は、検査時、7日後、14日後に聴取した。症状の発現率の性差はχ2検定を用いて評価し、男女別の有病率比および95%信頼区間(CI)はロバスト分散を使用したポアソン回帰モデルを用いて推定した。今回の報告は、2020年3月29日~10月7日に聴取したデータの解析であった。

 主な結果は以下のとおり。

・2020年10月7日時点で、6万648例の地域住民と患者がRT-PCR検査を受けた。
・SARS-CoV-2陽性者のうち86.3%が18~64歳、53.7%が女性であった。検査時に有していたCOVID-19関連の症状は、咳(28.1%)、頭痛(20.7%)、発熱(19.7%)、咽頭痛(16.0%)、筋肉痛(15.8%)、悪寒(13.7%)、味覚・嗅覚障害(12.4%)、息切れ(11.5%)であった。
・陽性および陰性を含む解析対象者全員の症状は、検査時では悪寒を除くすべてが女性で有意に多かった。7日後では発現率は下がるものの、悪寒も含めて女性で有意に多いままであった。14日後にはほぼすべての症状は男女差なく減少したが、咳(p=0.02)は女性で有意に多かった。
・陽性の集団では、男性のほうが発熱(男性22.6% vs.女性17.1%、p<0.001)と悪寒(14.9% vs.12.6%、p=0.04)が有意に多く、そのほかの症状は男女による差はなかった。
・陰性の集団では、女性のほうが男性よりもすべての症状が有意に多かった。
・検査時の男女別有病率比は、男性では発熱1.32(95%CI:1.15~1.51)および悪寒1.19(95%CI:1.01~1.39)と高かった。7日後では男性のほうが症状を有する割合が低い傾向にあったが、咽頭痛(0.49[95%CI:0.24~1.01])と筋肉痛(0.67[95%CI:0.41~1.09])以外は統計学的に有意ではなかった。14日後では、男女間で有意差は認められなかった。

 これらの結果より、研究グループは「SARS-CoV-2陽性と判定された男性では、検査時における発熱や悪寒といった特定の症状の発現率が女性と比較して高かった。これらの違いは、COVID-19パンデミック時に急速に顕在化した健康格差という重要な問題を明らかにするものである」とまとめた。

(ケアネット 森 幸子)

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