高リスク早期乳がんへの術後アベマシクリブ併用、再発スコアによらず有効(monarchE)/SABCS2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/12/18

 

 HR+/HER2-リンパ節転移陽性の高リスク早期乳がんに対する術後内分泌療法(ET)にアベマシクリブ追加の有用性を検討したmonarchE試験では、無浸潤疾患生存期間(iDFS)と無遠隔再発生存期間(DRFS)が有意かつ臨床的に意義のある改善が示され、さらに併用療法終了から5年後にiDFSとDRFSの絶対的ベネフィットがさらに大きくなったことが報告されている。今回、原発腫瘍組織の分子プロファイルと臨床転帰の関連について検討した結果を、英国・The Royal Marsden Hospital, Institute of Cancer ResearchのNicholas C. Turner氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で発表した。

 今回の解析は、層別無作為抽出ケースコホートデザインを用いて、ITT集団から層別化されたランダムサンプル症例、および主要評価項目のデータカットオフ(2020年7月8日)までにiDFSイベントを発症した全症例について、ベースライン時の原発腫瘍サンプルのバイオマーカー解析を実施した。全エクソームシーケンスで1,173例(ET+アベマシクリブ:580例、ET:593例)、RNAシーケンスで1,190例(ET+アベマシクリブ:605例、ET:585例)の結果が得られた。

 主な結果は以下のとおり。

・アベマシクリブの4年iDFSのベネフィットはすべての内因性サブタイプで一貫していた。
・21遺伝子再発スコア(Oncotype DX)が25以下の低リスク患者および26以上の高リスク患者とも、アベマシクリブによるベネフィットを示した。
・アベマシクリブによるベネフィットは、最も一般的なゲノム変化で一貫して観察された。MYCのみ、増幅患者のハザード比(HR)が1.30(95%信頼区間[CI]:0.77~2.20)、野生型患者のHRが0.62(95%CI:0.47~0.80、相互作用のp=0.014)で、増幅患者でベネフィットがみられなかった。

 今回のトランスクリプトーム解析により、すべての内因性サブタイプ、また21遺伝子再発スコアによる高リスクおよび低リスクのどちらの患者においても、アベマシクリブの一貫した有用性が示された。一般的なゲノム変化においても、MYC増幅を除いて一貫した有効性が示された。Turner氏は「これらのデータは、HR+/HER2-リンパ節転移陽性の高リスク早期乳がん患者において、内因性サブタイプ、21遺伝子再発スコア、最も一般的なゲノム変化に関係なく、アベマシクリブの使用を支持するもの」と結論した。

(ケアネット 金沢 浩子)

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