境界性パーソナリティ障害(BPD)とその併存疾患に関する情報は、BPDの診断数が少ないため、限られている。南デンマーク大学のL. H. Hastrup氏らは、初めてBPDと診断された患者における診断前後3年間の精神的および身体的併存疾患を調査し、対照群との比較を行った。その結果、BPD患者は、さまざまな身体的および精神的疾患を併発する可能性が高いことを報告した。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2023年12月10日号の報告。
2002~16年にBPDを発症した患者2,756例とマッチさせた対照群1万1,024例を対象に、登録ベースのコホート研究を実施した。併存疾患に関するデータは、世界保健機構(WHO)のICD-10基準に従い、主要な疾患グループに分類した。
主な結果は以下のとおり。
・BPD患者の約半数は、診断前に精神疾患および行動障害と診断されていたが、対照群では3%のみであった。
・負傷、自傷行為、中毒などの外的要因による疾患併発は、対照群と比較し、診断前のBPD患者でより多く認められた。
・BPD患者では、循環器系、呼吸器系、消化器系、筋骨格系、泌尿生殖器系の疾患を合併する割合が高かった。
・診断後では、BPD患者のすべての疾患グループにおいて、併存疾患を有する患者の割合の有意な増加が認められた。
・精神的および行動的疾患は、BPD患者87%、対照群3%で認められ、神経疾患は、BPD患者15%、対照群4%に認められた。
・BPD患者は、体細胞性疾患、とくに消化器系、呼吸器系、循環器系、内分泌系の疾患を併発する可能性が高かった。
・12年間の死亡率は、対照群よりもBPD患者で統計学的に有意に高かった。
(鷹野 敦夫)