厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。
重大な副作用「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」追加
急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例)が集積したため。
<該当医薬品>
アセタゾラミド
アセタゾラミドナトリウム
重大な副作用「腫瘍崩壊症候群」追加
腫瘍崩壊症候群の症例を評価した結果、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)、プレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、メチルプレドニゾロン製剤(経口剤および注射剤)、およびヒドロコルチゾン製剤(注射剤)について、腫瘍崩壊症候群との因果関係が否定できない症例(国内17例のうち6例、海外34例のうち22例)が集積したため。
<該当医薬品>
1.デキサメタゾン(経口剤)
2.デキサメタゾンパルミチン酸エステル
3.デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(注射剤)
4.プレドニゾロン(経口剤)
5.プレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム
6.プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム
7.メチルプレドニゾロン
8.メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム
9.メチルプレドニゾロン酢酸エステル
10.コルチゾン酢酸エステル
11.ヒドロコルチゾン
12.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む)
13.ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム(効能又は効果にリンパ系腫瘍を含まない)
14.ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム
1、3~5、7~12のように効能又は効果にリンパ系腫瘍を含む製剤については「重要な基本的注意」と「重大な副作用」の項に腫瘍崩壊症候群に関する記載を追記される。それ以外の製剤については「重要な基本的注意」の項に追記される。
なお、プレドニゾロン製剤(注腸剤)およびコルチゾン・ヒドロコルチゾン製剤(経口剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積はないが、同一の活性体などの集積を踏まえ、同内容に改訂することが適切と判断された。一方で、トリアムシノロン製剤(経口剤および注射剤)およびベタメタゾン製剤(経口剤、坐剤、注射剤および注腸剤)については、腫瘍崩壊症候群の症例の集積がないことから、現時点では使用上の注意の改訂は不要と判断された。
(ケアネット 土井 舞子)