EGFR陽性肺がん1次治療におけるamivantamab+lazertinibの有効性(MARIPOSA)/ESMO2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/11/01

 

 EGFR陽性肺がんの1次治療に新たな選択肢が示された。

 現在、EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療では標準治療として、第3世代EGFR-TKIであるオシメルチニブが用いられる。オシメルチニブによる1次治療は優れた有効性を示すが、いまだに治療抵抗性や病勢進行例の存在は避けられない。

 この治療抵抗性の25〜50%は、EGFRおよびMET遺伝子の2次的な異常である。EGFRとMETの二重特異性抗体であるamivantamabと、新規第3世代EGFR-TKIであるlazertinibの併用は、EGFR変異陽性NSCLC1次治療において、抵抗性を克服し、臨床成績を改善すると期待される。第I相試験CHRYSALISでは、この2剤の併用が未治療のEGFR変異陽性NSCLCに対し持続的な効果を示している。

 未治療のEGFR変異陽性NSCLCに対する、amivantamab+lazertinibとオシメルチニブを比較した国際無作為化第III相試験であるMARIPOSA試験が行われている。韓国・延世がんセンターのByoung Chul Cho氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で同試験の主要結果を発表した。

・対象:未治療のEGFR変異(exon19 delまたはL858R)陽性NSCLC
・試験群1:amivantamab+lazertinib(AL群、n=429)
・試験群2:lazertinib(L群、n=216)
・対照群:オシメルチニブ(O群、n=429)
・評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)評価による無増悪生存期間(PFS)(AL群対O群)
[副次評価項目]奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、PFS2、安全性など(AL群対O群)

 主な結果は以下のとおり。
・PFS中央値はAL群23.7ヵ月、O群16.6ヵ月であり(ハザード比[HR]:0.70、95%信頼区間[CI]:0.58〜0.85、p<0.001)、L群は18.5ヵ月であった。
・ORRはAL群86%、O群85%であった。
・DORはAL群25.8ヵ月、O群16.8ヵ月であった。
・脳転移あり例のPFS中央値はAL群18.3ヵ月、O群13.0ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.53〜0.92)。
・脳転移なし例のPFS中央値はAL群27.5ヵ月、O群19.9ヵ月であった(HR:0.69、95%CI:0.53〜0.89)。
・中間解析(追跡期間22.0ヵ月)でのOS中央値は両群とも未到達で、24ヵ月OS率はAL群74%、O群69%であった(HR:0.70、95%CI:0.61〜1.05、p=0.11)。
・Grade3以上の有害事象(AE)は、AL群75%、O群43%で発現した。
・懸念すべきAEである静脈血栓塞栓症はAL群の37%で発現し、ほとんどはGrade1〜2であった。

 Byoung Chul Cho氏は、amivantamabとlazertinib併用は、EGFR変異陽性NSCLの1次治療における新たなスタンダードであると結んだ。

(ケアネット 細田 雅之)

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