一般集団における疲労と日中の過度な眠気のどちらが、うつ病とより密接に関連しているかを明らかにするため、韓国・蔚山大学校のSoo Hwan Yim氏らは、調査を行った。Sleep & Breathing誌オンライン版2023年12月14日号の報告。
韓国の15の地区で本調査を実施した。日中の過度な眠気、疲労、うつ病の評価には、それぞれエプワース眠気尺度(ESS)、疲労症状の評価尺度(FSS)、こころとからだの質問票(PHQ-9)を用いた。うつ病はPHQ-9スコア10以上と定義し、疲労ありはFSSスコア36以上、日中の過度な眠気ありはESSスコア11以上とした。日中の過度な眠気と疲労との組み合わせにより、4群に分類した。
主な結果は以下のとおり。
・調査参加者は2,493人(女性の人数:1,257人)、平均年齢は47.9±0.3歳であった。
・うつ病、疲労、日中の過度な眠気の割合は、それぞれ8.4%(210人)、30.8%(767人)、15.3%(382人)であった。
・各群におけるうつ病の有病率は、対照群と比較し、以下のとおりであった。
【疲労あり、日中の過度な眠気あり】67人、31.9% vs. 7.3%(p<0.001)
【疲労あり、日中の過度な眠気なし】71人、33.8% vs. 20.3%(p<0.001)
【疲労なし、日中の過度な眠気あり】16人、7.6% vs. 5.8%(p=0.294)
【疲労なし、日中の過度な眠気なし】56人、26.7% vs. 66.6%(p<0.001)
・共変量で調整した後、疲労なし、日中の過度な眠気なし群を参照としたうつ病のオッズ比は、それぞれ以下のとおりであった。
【疲労あり、日中の過度な眠気あり】8.804(95%信頼区間[CI]:5.818~13.132)
【疲労あり、日中の過度な眠気なし】3.942(95%CI:2.704~5.747)
【疲労なし、日中の過度な眠気あり】2.812(95%CI:1.542~5.131)
・2群におけるロジスティック回帰分析では、疲労なし、日中の過度な眠気あり群(参照)と疲労あり、日中の過度な眠気なし群との間におけるうつ病との関連に有意な差は認められなかった(OR:1.399、95%CI:0.760~2.575)。
著者らは「疲労と日中の過度な眠気は、どちらがよりうつ病と密接に関連しているかは不明であったものの、それぞれが独立してうつ病と関連していることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)