強迫症は、さまざまな精神疾患を併発することが多く、双極性障害と診断された患者の約20%に影響を及ぼす可能性がある。強迫症と双極性障害の合併に関するエビデンスは増加しているが、併発を定義する強迫症状の明確な特徴に関する包括的なデータは、著しく不足している。このようなギャップを埋めるため、スペイン・バルセロナ大学のMichele De Prisco氏らは、強迫症と双極性障害の合併に関するシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2024年3月号の報告。
2023年8月7日までに公表された文献をPubMed、MEDLINE、Scopus、EMBASE、PsycINFOよりシステマティックに検索した。強迫症の症状、強迫観念、特定のカテゴリの観点から、強迫症と双極性障害を合併した患者と強迫症患者を比較するため、ランダム効果メタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・最初にスクリーニングされた1万393件の研究のうち、定性評価に組み込まれた研究は17件、定量調査に組み込まれた研究は15件であった。
・強迫症と双極性障害を合併した患者は、双極性障害を合併していない強迫症患者と比較し、生涯にわたる汚染への強迫観念が少なく(オッズ比[OR]:0.71、95%信頼区間[CI]:0.53~0.95、p=0.021)、性的強迫観念の増加が認められた(OR:1.77、95%CI:1.03~3.04、p=0.04)。
・メタ回帰分析では、双極性障害のタイプが影響を及ぼしている可能性があるものの、他の強迫観念や強迫行為、強迫症症状の重症度については、有意な差が認められなかった。
著者らは「双極性障害患者の強迫症の合併を評価する際、詳細な問診による性的または汚染に対する強迫観念の評価が臨床上の焦点となりうる可能性がある」とし「適切な治療アプローチを選択する際、併存する精神疾患の複雑な臨床症状を解析することは、より多くの情報に基づいた意思決定を行ううえで役立つであろう」とまとめている。
(鷹野 敦夫)