国立精神・神経医療研究センターの中込 和幸氏らは、統合失調症または統合失調感情障害患者において、これまで投与されていた抗精神病薬から、新規ドパミンD2受容体パーシャルアゴニストであるブレクスピプラゾールに切り替えた場合の治療継続率について、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2024年1月22日号の報告。
多施設共同単一群非盲検の24週間介入研究として実施された。介入期間は、2つの連続する12週間の期間(切り替え期、継続期)で構成した。これまで投与されていた抗精神病薬には、オランザピン、リスペリドン、パリペリドンが含まれた。主要アウトカムは、最初の12週間における治療継続率とした。副次的アウトカムは、社会機能的転帰評価尺度(SLOF)、抗精神病薬治療下での主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版(SWNS)、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)のベースラインからの変化とした。
主な結果は以下のとおり。
・ブレクスピプラゾールを投与した対象患者は79例。
・12週間後の治療継続率は78.5%で、事前に定義した閾値である65%よりも有意に高かった。
・これまで投与されていた抗精神病薬別での12週間後の治療継続率は、オランザピンで84.6%、リスペリドンまたはパリペリドンで72.5%であった。
・SLOF、SWNS、PANSSスコアは、ベースラインからの有意な改善が認められた。
・懸念される有害事象はみられなかった。
著者らは「ブレクスピプラゾールは、オランザピン、リスペリドン、パリペリドンからの切り替えを行ううえで、適正な抗精神病薬であると考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)